君との恋愛日記

スパイシー

恋愛日記

 6月15日 天気:晴れ

 今日、僕は運命の相手を見つけてしまった。

 太陽がサンサンと煌く早朝。ベランダに出たところで、見つけてしまったんだ。君は小さなリボンをつけていて、さらさらで、やわらかそうな肌をしている。思わず、しばらく眺めてしまったよ。そうしていたら、急に君はこちらを向いたね。驚いて僕は家の中に身を隠しちゃった。しばらくして、もう一度ベランダに出てみたけど、君はもう見当たらなかった。また会えたら良いな。




 6月22日 天気:晴れ

 今日もベランダに出て、君を見つけた。君は前に見たときと同じところにいたね。僕は思わず、顔を綻ばせてしまった。本当は心配だったんだ。前のときに君に見られて、もうここにここには現われないんじゃないかって。でも、君はまた僕の前に現われてくれた。今日も変わらず小さなリボン。本当に可愛い。あぁ、好きだ。大好きだ。君をずっと見ていたいし、できることならば触れてみたい。でも、それはだめだ。そんなことをしたらきっと君はもう現われなくなってしまう。だから今日は少し早めに君を見るのを止めた。




 6月29日 天気:晴れのち曇り

 やっぱり君は、いつもの時間にいつもの場所にいる。でも、今日は風が少し強かった。小さい君は飛ばされてしまうのではないかとひやひやしたよ。でも、君は案外強かったね。風なんかに負けず、リボンをなびかせて頑張って堪えていた。僕はその姿に、正直すごく萌えたよ。あぁ、やっぱり君以上に素晴らしい子はこの世にいないって思ったね。




 7月6日 天気:雨

 どうして? 君はいつも一週間ごとにここに来るはずなのに。どうして今日はいないの? 寂しいよ。君は僕の唯一の心のゆとりだというのに。あぁ、君を見なければこれから一週間頑張れる気がしないよ……。だめだ。憂鬱だ。今日はもう日記を書きたくない。




 7月13日 天気:晴れ

 よかった、今日はちゃんと来てくれた。二週間ぶりだね。会えて嬉しいよ。でも、ほったらかしにするなんて寂しいじゃないか。この一週間僕がどれだけ落ち込んでいたかわかる? 君にはわからないよね。僕の気持ちなんか。最初はそんなことを思ったけれど、君の可愛らしい姿を見ていたら、憂鬱だった気分は一気に晴れたよ。やっぱり君は僕の運命の人だ。愛しているよ。




 7月20日 天気:曇り

 まただ。また君がいない。なんで? どうして? 僕のことが嫌いになっちゃったの? 僕はこんなにも君が好きなのに? ねぇ、なんで? 僕には君の考えていることがわからないよ。寂しいよ。僕の前に来てよ……。




 7月27日 天気:晴れ

 今朝ベランダに出たら、君はいた。やっぱり、君を見たら寂しかった気持ちもどこかへ飛んでいってしまう。また会えて嬉しいよ。思わずそう君に声を掛けてしまったね。君は返事を返してくれなかったけど、僕は満足だった。声を掛けたとき、僕には君が笑って見えたから。だから、僕は決めたんだ。もっと積極的にアプローチしていくって。今度からはもっといっぱいお話しようね。




 8月3日 天気:晴れ

 今日は君といっぱいお話できたね。穏やかな朝の挨拶から始まり、僕の日常や、仕事の話。いっぱいいっぱいおしゃべりした。君はしゃべってはくれなかったけれど、黙って僕の言葉をずっと聞いてくれていたね。こっちを向いてくれなかった時もあったけれど、僕は聞いてくれるだけで満足だよ。またお話しようね。




 8月10日 天気:晴れ

 今日も君とたくさんお話した。毎回見るたびに君はどんどん可愛くなっていく気がする。最近、仕事がうまく行かず、生活が苦しくなってきた。上司は厳しいし、先輩にはこき使われる。後輩は使えないし、僕に仕事がいっぱい来る。でも君がいるから、僕は何とか頑張れる。君が僕の愚痴を聞いてくれるから、僕は頑張れているんだ。君は本当に僕の天使だ。何時までも何時までも一緒にいたい。一緒に暮らして、一緒にご飯を食べて、一緒に遊んで、一緒にお風呂に入って……あぁ、もう我慢できない……。




 8月17日 天気:晴れ

 ついに、ついにやってしまった。君を家の中につれてきてしまった。でも、僕は後悔していない。だって、君の事を愛しているし、君も愛しているだろうから。それにしても、君をこんなに近くで見たのは、これが初めてだ。あぁ……良い臭い。それにとてもやわらかくて、すべすべだ。あはは、これからはもっともっと色んなことをしようね。前回も書いたけど、一緒にご飯食べて、遊んで、お風呂に入って……これからずっと一緒だよ。















 8月19日 天気:雨

 昨日、君は連れ去られてしまった。僕も一緒に捕まって、今日やっと開放された。

 僕は何も悪い事していないのに。一緒にいようと思っただけなのに。

 なんで? どうして? どうして君が連れ去られて、僕は捕まらなきゃならないの? あんなに愛し合っていたのに。ねぇどうして――――














 9月21日 天気:晴れ

 あれから、君は一度も僕の目の前に現われない。どうやら、引っ越してしまったらしい。僕は泣いた。本当に悲しくて悲しくて、一晩中泣いた。でも、わかったんだ。きっと君は、君がいなくても僕はやっていけると思ってくれたんだね。わかった。僕、これからも頑張るよ。


 あぁ、でも出来る事ならもう一度君に会いたいよ……。少し丸みを帯び、穴が三つ開いた綺麗な三角形。規則的に水玉模様が描かれ、前にちょこんと可愛らしいリボンをつけた君に、もう一度会いたい。


















パンツ。間違った、おしまい。

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