今宵、君で愛を騙る

作者 木遥

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★★★ Excellent!!!

地味な少年と、花のように咲く凛とした美少年。

交わることのないふたりが、1冊の本によって繋がっていく様を、丁寧に描きだした作品です。

酔狂に似た口付けからはじまった歪な関係。

萌えいづる淡い恋情。
友情の境界線をはみ出す、そのなにともいえない感情に、名前をつけるとしたら?

★★★ Excellent!!!

人生の中に一瞬だけ存在する、脆い美しさと曖昧さを誰もが持つ学生時代。
そんな壊れそうな危うい日々を不思議に彩り合う少年たちの姿が、繊細に描かれます。

曖昧な自分を知りたくて、自分の心の奥底を見つめ続ける麗哉。その彼に憧れとも愛ともつかない感覚を抱く紘登。自分自身のことなんて、まださっぱり理解できていない…そんな、不安定な時代特有の儚い透明感が、とても魅力的です。

彼らが、これからどんな道を歩むのか。とても楽しみです。

★★★ Excellent!!!

BLを形容する言葉として「耽美」があります。ここで繰り広げられるのは、まぎれもなくその耽美で表わされるものでしょう。主人公紘登の、美少年・麗哉へと向かう感情は、作中にも出てくる『デミアン』の主人公エミールがデミアンへ向き合う時そっと寄り添い現れる、カインを奉じる魅惑のように、すなわち意思される意思の外側、とりもなおさず「崇拝」のそれです。かつて、神の真の到来は疑いなく私たちをみすぼらしくさせ、失望させる、と予言した哲学者がいました。ついにそっとたち消えたデミアンはエミールに孤独な一個の人格を与えたわけですが、やがてこの作品の主人公は、もし交流の中で麗哉が肉を持ち始めたとしたら、失望して孤独な「大人」になるのでしょうか?あるいはその肉すらも崇拝へと高められるのでしょうか?はたまた、崇拝が親密な愛情へと変化していくのでしょうか?今後の展開がとても楽しみな作品です。