ズームアップしちゃった現代

ひなもんじゃ

第一回 鍵RTに翻弄される地雷ユーザー

ズームアップしちゃった現代 第一回


キャスター(以下、キ):こんばんは。ズームアップしちゃった現代のお時間です。本日お話を伺いますのは聖グロいアーナ女子大学の教授で人間分析心理学を研究されております尾久田修さんです。よろしくお願いします。

尾久田修(以下、尾):よろしくお願いします。

キ:尾久田さんが問題提起されているのはこちらです。VTRをご覧ください。


(映像が出る)こちらがいま全国におけるT○itterの地雷ユーザーに急増する「自分はスルースキルがあると主張していながらもいざ鍵RTされると『鍵RTするとかなんなの』といちいちつぶやく」現象です。この行動の裏には何が隠されているのでしょうか。今夜はこのような人々の分析心理についてズームアップしていきます。


キ:それにしましてもなぜこういった現象が起きているのでしょうか。

尾:はい。その前にこの分析結果を見てもらいたいのですが。(フリップを出す)

「鍵垢を厄介がる地雷ユーザー」の割合(聖グロいアーナ女子大独自調べ:2013年)です。大体二割の地雷ユーザーが鍵垢を厄介がっており、もう一割が「自分も鍵垢を持っているから両成敗」と回答し、他の七割が炎上する系統のクソリプとなっています。鍵垢なんて個人が作ったところで問題はないんですけどね。

キ:こちらはどのように調べたのですか。

尾:学生から地雷と思われるアカウントをリストアップしてもらい、無作為に選んだ中から調査に関するリプを送りました。

キ:…(絶句)

尾:(咳き込む)失礼しました。さきほどのフリップにおけるクソリプの七割の行動原理は「強化子」といってですね、このようなことを呟き炎上し一定時間内にすぐに沢山のRTがくるのが快感になって、行動が強化されるといったことが起きているんですね。この「強化子」が何を招いているかといいますと、地雷ユーザー本人が炎上ツイートをするきっかけになるという悪循環を生んでいる。こういったことを招いていると言えるんですね。

キ:それにしましても、こちらの有効な解決策といったものはあるのでしょうか。

尾:まず「強化子」を断ち切る、即ち普段からRTをしない、といったことが非常に重要になってくるかと考えられますね。

 それでですね、またそもそも接触を少なくする、といったことも重要ですね。一回距離を置いてみると。そもそもネットというのは自分で情報を取捨選択できるメディアですから。自分が扱っているものとは別のジャンルの話題を探す、例えばオッ紅茶の話題を唐突に出すというのも有効な手段ですし、そもそもつぶやかないで心の奥にしまっておくというのもいいですね。しかしながら、自分の気に入った情報ばかり見ているとまたそれも地雷の道に踏み入れているということがいえますから、さまざまな情報を分け隔てなく吸収していくというのも非常に重要になっていくでしょう。

 これに関しては少し話が脱線致しますが、日本の報道の自由度は72位で日本のネットの自由度が7位という結果がでていますが、これもですね、自分の好む情報ばかりとっていたらそれは偏向報道と変わらないとおもうのですね。まあこれが「地雷」といったことにつながっていくのですけれども、こういったこともまたかんがえて取捨選択する情報のバランスを取っていく、こういったことが大切ですね。

 話を纏めますと、何か憤慨する念が湧いても心の奥にしまっておく、普段から地雷ユーザーのTwe○tをRTをしないといったことが有効な解決策としてあげられるかと思います。

キ:なるほど、ありがとうございます。

尾:いいえ。

キ:本日は聖グロいアーナ女子大学教授の尾久田修さんにお越しいただきました。ありがとうございました。

尾:ありがとうございました。また要望等ありましたらいつでもお声かけください。

キ:いいえ。もう出ないでください。

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