親友殿。オレの嫁をリアル嫁にできるかもしれません

@v_alpha

某年某月某日

                       [???](イ9:45:01+17:00)

   あーてすてす。はろーはろー親友殿。聞こえてますかー?見えてますかー?

   届いてる?ねえ、届いてるぅー?


                       [???] (イ9:45:03+17:00)

                               届いてます?


                       [???] (イ9:46:09+17:00)

                            おーい。親友殿ー。

            

                       [???] (イ9:46:45+17:00)

                              ……親友殿?


                       [???] (イ9:47:30+17:00)

      届いてる?っかしーな、やっぱ無理なのか。でもいけるって太鼓判

      押されたしなぁ。


                       [???] (イ9:48:01+17:00)

      おーい、誰かー。もしこれ見えてたら返信しくれ。至急。最優先に。


                       [???] (イ9:48:15+17:00)

             ……親友殿。成沢佐なるさわたすく21歳。大学三年生、独身。

             彼女居ない暦=年齢。いたら返事しやがれ。


                       [???] (イ9:48:31+17:00)

              彼女居ない暦=ねんれーい!返事。返事くれー。


[佐]

・・・どちら様ですか?


                       [???] (イ9:50:33+17:00)

             おお!いた!きた!すげー。届いた!親友殿ーー。

           会いたかったー!つかさては居留守使ってやがったなw


[佐]

だから誰?


                       [???](イ9:52:01+17:00)

              嫌だな親友殿。オレの事をお忘れになりましたか。



[佐]

・・・嫌な予感がしてきたけど、あえて聞く。どちら様ですか?




                       [???](イ9:54:03+17:00)

                         だからオレだよ、オレ←


[佐]

業者さん?騙すにしても手法が古すぎる。


                       [???](イ9:54:41+17:00)

        騙してないっつーの!オレだってば。マジで分からない?^^



[佐]

だから生憎ウチ、そういう一昔前の詐欺は間に合ってますから。


                       [???](イ9:55:59+17:00)

            の割には律儀に返信するよな。親友殿のそういうとこ、

            嫌いじゃないぜw



[佐]

うるさい。馴れ馴れしい。誰だよテメー。なんで

オレのUphoneにこんな訳分からないチャットapp入ってんだよ。

しかも個人情報垂れ流しで。おまけになんだよikypeいかいぷって。狙いすぎだろ。

説明しろ。説明しやがれ。

お前には説明する義務がある。


                       [???](イ9:57:01+17:00)

          ひでーーーーーーー。ホントにオレが誰だか分かんないの?


[佐]

だからそういってますが。



                       [???](イ9:58:21+17:00)

         ひどい。マジひどい。オレ傷ついた。朝までオレの嫁について

         熱く語りあった仲なのに……っ!



[佐]

・・・・・・アプリ消すわ。


                       [???](イ9:59:01+17:00)

              ちょっ。まった!待て。落ち着け。話せば分かる。



[佐]

話しても分からないから消すつってんだろ!つか、このアプリ消え

ないんだけど。何これ。もう無視でいい?



                      [???](イ10:01:01+17:00)

             駄目だって!オレ今異世界で一人ぼっちなんだから!

         親友殿が話してくれなかったらぼっちすぎて死ぬ!野垂れる!



[佐]

突っ込み待ちか?突っ込み待ちだよな?・・・だが断る!

そんな安易に説明に持って行けると思うな!現実は甘くないのだよ



                      [???](イ10:03:01+17:00)

          親友殿……お前いつからそんな悪役に…。あの頃は純粋で

          素直で良い子だったのに。いじりやすくて。(ぼそっ



[佐]

黙ろうか。文字でぼそっとかもう悪意しか

感じねーよ。伝える気満々だろ。



                      [???](イ10:04:53+17:00)

                                 てへ。


[佐]

なぐっていい?^^



                       [???](イ10:05:31+17:00)

                 駄目。つかそろそろ真面目な話していい?



[佐]

最初からそうしろと言ってたのオレなのに。

オレなのに。なんでこんな窘められてる感っ。



                       [???](イ10:07:20+17:00)

          細かいことは置いとけwで、本題だけど。あのさ、親友殿。

          オレの嫁をリアル嫁にできるかもしれない。



[佐]

は?



                      [???](イ10:09:41+17:00)

              だから、オレの嫁と、リアルにけっけけっ結婚…

              出来るかもしれない、んだ!



[佐]

だから文字。文字で分かりやすくどもるな。落ち着こうか。何だって?

取りあえずお前、葛城だよな?



                       [???](イ10:10:29+17:00)

       はい。セイです。そしてオレはこの上もなく落ち着いています。



[佐]

……。セイ、で、オレ、で、異世界でオレの嫁。……嫌な予感がする。



                       [セイ] (イ10:11:31+17:00)

                            うん、多分正解。


[佐]

……アプリ消していい?


                       [セイ] (イ10:11:53+17:00)

                               消えるの?


[佐]

……いいえorz


                       [???](イ10:12:40+17:00)

              だよな。まああれだ。お察しの通り異世界なう 笑


[佐]

デスヨネー。


                       [セイ] (イ10:13:24+17:00)

                      反応がつまらんな。もっと驚け。


[佐]

↑みろ。自分でバラしてたら世話ねーよ。


                       [セイ] (イ10:15:19+17:00)

              あれは親友殿が……はっ。さてはこれを見越して。

              謀ったな、貴様ァ!

[佐]

いやいやいや。


                       [セイ] (イ10:16:36+17:00)

                  反応がつまらんな。もっとなんとかしろ。


[佐]

指示がアバウトすぎんだろおい。


                       [セイ] (イ10:17:24+17:00)

            頭は使うためにあるんだよ?指示待ち人間になっちゃ

            だめだよ親友殿。ぼかぁ君の3年後の就活がどうなるか

            心配だよ……


[佐]

頼むから煽るなら煽る、そうじゃないなら

そうじゃないではっきりしてくれ。

グレーゾーンが一番反応にこまr


                       [セイ] (イ10:18:59+17:00)

          もちろん純粋な心配!まあいいや話がすすまん。続けるぞ。


[佐]

なあ、純粋に純粋に素朴な疑問なんだがそれ

誰のせいなんですかね?


                       [セイ] (イ10:19:53+17:00)

                  あれ文字化けしてんな。おっかしーなぁ。

          さて、現状だけど。正確には今居るのは異世界じゃなくて

          パンタレイの世界なんだ。



[佐]

もじば……もういい。貴様はそういうやつだ。俺は諦めた。



                       [セイ] (イ10:20:33+17:00)

                 そこはかとなくムカつくんだがな、親友殿。


[佐]

気にすんな^^で、なに?ネトゲの世界だって?

なんでまた、そんな厄介なとこに。



                       [セイ] (イ10:21:47+17:00)

                      いやさ、実はオレ昨日死んでさ。


[佐]

さらっと衝撃の事実をありがとう。



                       [セイ] (イ10:21:47+17:00)

                      ううんそれほどでもないよぉ////


[佐]

うざいからそのキャラやめれ。



                        [セイ] (イ10:22:34+17:00)            えー。佐たんのいけずぅ。優しくない男の子はモテないよ?////



[佐]

おまえなぁ(#^ω^)ビキビキ


 

                        [セイ] (イ10:23:58+17:00)

            まあうん。本気で話が進まんからもう真面目にいくわ。

            んでさ、ほら昨日オレらパンタレイのNPCの前提クエ

            やってたじゃん?



[佐]

おう。



                       [セイ] (イ10:24:22+17:00)

               オレ、ゼミ長引いて待ち合わせまで時間なくて

               スポットからインしててな。



[佐]

うん



                       [セイ] (イ10:25:17+17:00)

             クエ終わって落ちた後の帰宅途中の道で、疲れてて

             信号無視とかして



[佐]

皆まで言うなトラックか。



                       [セイ] (イ10:25:52+17:00)

                    んにゃ。心臓発作。だと思う。多分w



[佐]

……おう。なんで信号とか言ったとは突っ込まんぞ。突っ込まん。



                       [セイ] (イ10:26:35+17:00)

          痛っ!ってなって、苦しくて、視界がホワイトアウトして

          気付いたら真っ白い空間で美形の双子に囲まれてた。



[佐]

もうオレは何を聞いても驚かない。驚かない。驚かない。



                       [セイ] (イ10:26:58+17:00)

           wwwww 我慢しなくていいから。本音いってみwwww


                     


[佐]

……………………。



                       [セイ] (イ10:27:21+17:00)

                           ほら。言っちまえw


[佐]

……では失礼して。



                       [セイ] (イ10:28:13+17:00)

                                 おうw


[佐]

ざっっけんな、何そのテンプレ!!!どうせあれだろ、

その双子が神様とかで、ロリ巨乳&ショタっ子とか

妖艶お姉様&可憐な妹とか!んで、かたっぽがオレらんとこの

管理してて何かの手違いでお前が死んだから

詫びで異世界転生(チート付き)だろ!?



                       [セイ] (イ10:30:49+17:00)

                               …………


[佐]

ふー(ーωー)



                       [セイ] (イ10:31:22+17:00)

                 言ってやったぜって感じのドヤ顔うざいよw



[佐]

………。


                       [セイ] (イ10:31:49+17:00)

                 まあ8割り方は正解。双子は普通に見た目

                 10代後半のそっくりな男女だったけど。



[佐]

様式美ってもんをわかっちゃいねーーーーーー。

そこはロリ巨乳だろ?いやつるぺただろ?責任者呼べ。責任者!

巨乳は世界を救うんだ!



                       [セイ] (イ10:32:52+17:00)

                     親友殿ってそういうキャラだっけ



[思わずヒートアップしてしまったのをめっちゃ後悔している佐]

ははは。



                       [セイ] (イ10:33:12+17:00)

                      名前wwwwwwwwwwwwwwwwww



[地獄の底から響くような声をした佐]

お前かお前なのか。



                       [セイ] (イ10:33:42+17:00)

                  いや、オレ違う。ってか名前wwwwwwwww



[眉をひそめた佐]

くそっ。なんなんだよこれ


[無駄な実験を始めた佐]


[諦めないしつこい男の佐]


[これだから細かい奴はモテないんだと陰でよく言われている佐]


[ここまでやってもまだ気付かない鈍感男の佐]


                       [セイ] (イ10:35:12+17:00)

                                 w

[むきになって連打し始めた佐]


[実は小学3年生までおねしょをしていた佐]


[初恋の女の子に素直になれなくて馬鹿な悪戯して嫌われた佐]


[そのあと大嫌いと言われて半月立ち直れなかった佐]


[次に好きになった女の子とちょっといい雰囲気なって浮かれた佐]

 

[その子に同じ部活の他の男への橋渡しを頼まれて無駄に見栄はっていい人やった

挙げ句上手く二人がくっついたら半年凹んだ佐]


[いい人なんだけどね、という台詞にトラウマがある佐]



                       [セイ] (イ10:54:42+17:00)

                      すげ、二行いったwwwww


[具体的になにがあったかは触れられたくない佐]



[今のところ告白における成功率が0%の佐]



[何故か好きになる人がことごとく何かしら問題がある佐]



[中学時代に病を拗らせてノートに書き溜めた呪文を帰り道にぶつぶつ呟いた佐]



[その時は自称・真なる始祖竜の生まれ変わりで世を忍ぶ原始の皇竜人だった佐]



[くっくっく、我が本性も知らずにのうのうと暮らしておるわと一日5回は

心の中で呟いていた佐]



[HP0のくせに踏ん張ってる佐]



                       [セイ] (イ10:57:03+17:00)

                      おーい。もうその辺にしとけよw




[可愛い彼女にたっくんって呼ばれるのが密かな夢の佐]



                       [セイ] (イ10:58:52+17:00)

                            ぷっ。たっくーん。




[責任者出てこいって言われたから責任者出て来たのに不満そうで

意味分からない佐]


しにたいorzorz



                       [セイ] (イ11:01:03+17:00)

                      大丈夫だ。オレはお前の味方だ!



[絶賛逆切れ真っ最中の佐]

おま、絶対にやけてんだろ、余計ダメージ食らうわ阿呆!



                       [セイ] (イ11:02:06+17:00)

                                ん?^^



[自己嫌悪中の佐]

……。いや。うん。ごめん。



                       [セイ] (イ11:02:42+17:00)

           うん。で、どうやら責任者様がおいでになったようだね




[セイにやっほーっ元気ー?と言っている責任者①を呼び出した佐]

……そうみたいだな。



                       [セイ] (イ11:02:59+17:00)

                          というか名前が凄いww

             お姉様ごきげんよう!ちょー元気です。その節はども





[よかったよかった。無事に転移できたみたいだねと安心してる責任者②に

疑いを持ってる佐]

あの




[ロリ巨乳じゃなくて悪かったなと静かに佐にキレてる責任者①も呼び出した佐]

えっと




[佐のラック値を下げようとしてる姉を止めてあげてる責任者②について

胡散くせーと思ってる佐]

んで結局どういうことだよ!!



                       [セイ] (イ11:04:36+17:00)

            ……佐、なんかお前これからそっちの世界での人生に

            死亡フラグ立ちそうだけど生きろ。




[やりきった良い笑顔の①(姉)にラック値を-1固定された佐]

ちょっ。神様。まじ洒落なってないっす。ごめんなさい。

ほんと申し訳ない。だからリアルラック下げるのはやめてwwww




                       [セイ] (イ11:06:22+17:00)

             手遅れだったか。生きろよ。オレは信じてるからな!




[たっくんごめん。強く生きろよと思ってる②(弟)に見つめられてる佐]

あああああーーーー



                       [セイ] (イ11:07:49+17:00)

                                 南無三。



[姉(Aではないもん)にニヤニヤしながら打ちひしがれてる姿をみられる佐]

俺、明日からどう生きて行こうか。




                       [セイ] (イ11:08:23+17:00)

        ……か、考え方を変えるんだ。-1以下にはならないってことは

        ちょっとの不幸ですむ!




[セイに同意している弟(苦労人)に哀れまれている佐]

・・・あはは。プラスにならない人生……orz

つーかなんで神様普通にしゃべらないんすk



                       [セイ] (イ11:09:46+17:00)

                  まあうん……。なんくるないさ。頑張れ。

                     オレも頑張って嫁と結婚するから。




[直接出ると過干渉になるから、苦肉の策だと答える弟に質問した佐]

話の運びが無理矢理すぎるのは、この際おいとくよ。

……嫁って、あのリザードマンだろ?



                       [セイ] (イ11:11:23+17:00)

                    アリスさんな!ちゃんと名前で呼べ。

         ……いや、やっぱ呼ばなくていいわ。オレだけが呼べばいい




[そういえば、もう会ったの?とセイに訊いている責任者ズを恨む佐]

神様も大変なんですね。

相変わらずだなお前(笑)そんな好きなの



                       [セイ] (イ11:12:16+17:00)

                 当たり前だろ。あの人がオレの存在理由だ。


                       [セイ] (イ11:12:20+17:00)

          で、アリスさんとはまだ会ってません。今まだモヌールっす

          これから会いに行ってきます。




[そっかあ。頑張ってね。応援してるよと優しい目でセイを見ている

責任者ズに不満を持つ佐]

……なんか、扱い違い過ぎじゃないですか?ねえ神様

モヌールって、じゃあ落ちたときのまんま?

そっちどんな感じよ。



                       [セイ] (イ11:13:45+17:00)

                       普段の行いの差だと思う^^

                そうそう、クエ終わって再生の儀終えた直後。

          不思議だぞ。パンタレイはVRMMOの中でも作りがリアルな方

          だと思ってたけど、やっぱ現実になるとはっきり違うわ。




[なんかだって無性に虐めたくなると姉に見つめられる佐]

行いの差だったら逆だと思うんだ!?

ほー、そうなのか。気楽だなお前は……


                       [セイ] (イ11:15:06+17:00)

                             おねーさま素敵!

                             気楽って何が?



[褒めても伝説武器くらいしか出ないんだからっ!と照れる姉に

色んな意味で気に入られた佐]

だってもうこっち戻れないんだろ?

葛城は、別に世を儚むほどこっちで条件悪かった訳じゃないしさ

未練とかないの?



                       [セイ] (イ11:16:46+17:00)

                          んー、未練はないな。



[渡す武器を吟味している姉をちょれーと思ってる佐]

そうか


                       [セイ] (イ11:17:07+17:00)

          どちらにしろそっちのオレは死んでるし、そうじゃなかった

          としても、どっちか選べって言われたらこっちを選ぶよ。


                       [セイ] (イ10:17:09+17:00)

               だって、そっちの世界にはアリスさんが居ない。




[次はどのパラメータ下げようかと姉に吟味されている佐]

………お前、ほんと、変わらなないな。

そういうとこだけは凄いと思うわ。



                       [セイ] (イ11:17:42+17:00)

             ん。だからさ、オレはこっちで幸せちゃんと掴むし

             むしろ本望だし!だから、あー……その。




[さりげなくパラメータ管理権を書き換えた弟に助けられている佐]

何だ。

ってかお姉様。お痛が過ぎます。

冗談は笑って言える範囲だから冗談って言うんですよ。




                       [セイ] (イ11:18:59+17:00)

                          そのー、だから、な?





[珍しく冷静に姉に意見した佐]

うん。何。



                       [セイ] (イ11:20:52+17:00)

            ………わたしの〜お墓の〜前で、泣かないで下さい?





[な、何かしらこの気持ち、と戸惑う姉に見つめられている佐]

………



                       [セイ] (イ11:21:12+17:00)

             いや、あの、その、な?一応というかなんと言うか。        

             別にお前がそんなに悲しむとも思ってないけど

             お前、案外繊細なとこあるし、念のため!




[姉の意外な反応に驚きの目で弟に見られる佐]

………



                       [セイ] (イ11:21:38+17:00)

            そう、念のため!そこに私は居ないから!パンタレイで

            嫁を手に入れてめっちゃラブラブしてるから、

            きっと!




[さりげなくラック値を姉に戻された佐]

っとに。

わかった、わかったから(笑)

あーあ、ったくホントな。




                       [セイ] (イ11:23:23+17:00)

                              な、ナンスカ。




[べ、別にあなたの為じゃなくてお父様に怒られるのが

嫌なだけなんだからっと姉にツンデられている佐]

いや〜、葛城は葛城だな、と。

あ、セイだっけ。これからは。




                       [セイ] (イ11:25:19+17:00)

                             意味が分からん。

         そ、オレはセイとして生きてく。そっちはそっちで頑張れよ




[そのうち義兄と呼ぶんだろうかと弟に悩まれている佐]

おう。俺はちゃんと精一杯やってくから心配すんな!

セイも、言ったからにはちゃんと嫁、ものにしてこいよ!

……じゃあな。



                       [セイ] (イ11:25:21+17:00)

                 具体的には明日の発表。オレ抜きで頑張れ             



[微妙な顔の姉に見られている佐]

そうだったーーーーーー

ちょ、葛城、おまマジふざけんな。主著者いないじゃん

どうすんの。あれほっとんど全容理解してんのお前だけだろ



                       [セイ] (イ11:27:29+17:00)

                いやあ、死んだのはオレの責任じゃないし?

                 まあ、大丈夫。たっくんならできるできる!




[こっちみなさいよ!と姉に言われている佐]

おっま、軽くひと狩り行ってこい的なノリで言うなよ!

イッツリアル、ノット、ゲーム、オーケー?



                       [セイ] (イ11:31:20+17:00)

                オレの部屋のBitten Appleの方のPC、パスは

                「ALICE_MY*LOVE」。一通り必要なもんは

                入ってるから、それ見れば平気なはず。

                あと、そろそろおねーさま構ってあげて 笑



[もう、もう、何なのよ!と睨みつけられている佐]

うーあーー、もう本当に嫌だ。

避けられないのかこれ。

あーお姉様、ラック値戻してくれてありがとう。

ついでこの窮状なんとか出来ませんか……?



                       [セイ] (イ11:33:45+17:00)

                  まー、そんなわけだから、がんばれー。

                  また連絡するわ。



[知らないっ!と姉にそっぽ向かれた佐]

……え?


                       [セイ] (イ10:35:15+17:00)

                                  ん?



[これはやはり……どうやって神席に入れようかと弟に

思案されている佐]

"また"?



                       [セイ] (イ11:36:41+17:00)

               ん、また。時間差どうなってるか分からないけど、

               明日にでもまた報告するわ。


                       [セイ] (イ11:36:52+17:00)

                    あー、そうだ。もう一回言っとこう。

            神様方、チャンス、ありがとうございます。あなた方が

            いらしたから、オレはアリスさんに出会えました。

            死ぬのとアリスさん諦めるの以外は何でもするので、

            何かあったら言って下さい!




[弟の頭をぐりぐりやっている姉をどうしたもんか

と思っている佐]

ちょっと、まて。え、これって最期の未練的なやつ

じゃないの?話し終わったら終わるもんだと思って

たんだけど。




                       [セイ] (イ11:37:45+17:00)

                       未練がたっくんとかwwww

                     違う違う。これ、オレの転生特典。

                       現世との思念会話(相手固定)

             だからいつでも話せるよ!良かったね、たっくん!





[姉をからかうネタとして弟に使われる佐]

お れ の 感動を返せーーーーーーーーーーー

ってかさりげなくたっくん呼び固定するな!

うあああ、お姉様なんとかしてください……

俺どうしたらいいか分かりません。



                       [セイ] (イ11:37:45+17:00)

                    女性に頼るなんて、女々しいぞ佐。

               俺が全部片付けてやるってくらい甲斐性持てよ




[セイくんの言う通りだよ、と弟に同意されている佐]

それはそれでうぜーよww

もう、お前勝手にそっちで嫁でも何でも作ってろ!

帰ってくんな。



                       [セイ] (イ11:39:25+17:00)

            言われなくても!んじゃちょっくら嫁に会ってくるわ

             また後で。発表がんば




[セイくん頑張って!と応援している責任者ズと縁が出来た佐]

ちくしょう、お前なんかいなくても完璧にやってやんよ!!!






 溢れる衝動のまま、乱暴に文字を打ち込んで送信。

 そのままスマフォをスリープに落としてバックパックに放り込み、佐は慌ただしく身なりを整えはじめた。

 今の今まで、あったことは現実だ。

 他の奴ならいざ知らず、葛城が言うなら、あいつが今VRMMOの世界に転生したのも、これから嫁を探しに行くというのも、俺のリアルステータスが神様に弄られたのも、現実だ。

 ならば、そうーーーーアイツが死んだのも、現実なんだ。

 洗うというより、水をかけると言った方が適当な仕草で洗顔しながら、不思議な感覚だ、と佐は思った。

 つい昨日まで、いや。つい、十数時間前に顔を会わせたばかりの人間が、既にこの世のどこにも居ないという現実は、あまりにも現実的でなかった。

 頭では理解しているのに、何かが、それについていっていない。

 どこかがズレている。そんな違和感を、佐は奇妙に思いながらしかし、今はそれを考えている場合ではないと、かぶりを振って思考を止めた。

 明日の完全次世代型ヒューマノイド発表は、佐達が所属する一個の大学内に留まらず、世界的に注目されている。もちろん、各々の担当者がそれぞれの部分についてはある程度理解はしているが、それをまとめ、何より中枢部分を開発したのは葛城だった。アイツなくしては、成り立たなかったものだ。それゆえ、葛城が中心となって、発表も行う予定だった。

 それなのに、あまりにも急にいなくなった。葛城を欠いての披露目、タイムリミットまであと26時間弱。

 ーーーー頭痛がしてきそうだった。

 その辺にあったデニムにTシャツを着込んで、無理矢理にゼリーを胃に流し込む。


 ……まずは、チームの連中に連絡。それから葛城の部屋でPC回収して集合かけて……これからの予定をざっと頭の中で整理しながら、佐はバックパックを手にとって、部屋を出る。


 通り過ぎる際に、玄関脇のコルクボードにピン留めされた写真が目に入る。

 高校時代所属していた剣道部の全国大会の記念写真。半泣きの佐の隣で満面の笑みで優勝トロフィーを掲げている女性はもうこの世界にはいない。



 ーーーーーーーーーー葛城かつらぎしずかは、もうこの世界にはいない。

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親友殿。オレの嫁をリアル嫁にできるかもしれません @v_alpha

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