【訂正】あくまでこれは第一話のレビューですが、おそらく全話共通の感想になると思われます。
この小説を読みに来た方はそこそこビデオゲームに詳しい方だと思う。
近年はVR(仮想現実)、特にHMD(HeadMountDisplay)の発展が著しい。ちょうど現時点である2016年4月はHMDの代名詞であるフェイスブック社のOculusRift、Valve社のViveが既に発売されていて、2016年の秋にはソニーのPlayStationVRが発売予定であり、まさにVRにとって記念すべき年になることは間違いない。
しかし、現時点でも既にVRやHMDにおける様々な課題や障害は指摘されており、VRの熱気が一過性の夢に終わる可能性も否定できない。
模範的工作員同志はニコ生でゲームのレビューをしていることで一部のゲームマニアの間では有名であり、その人気の秘密が氏の放送の脚本の完成度の高さが大きく貢献していることは言うまでもない。(もちろん他にも色々とある)
この架空ゲームレビュー(というか、SF小説?)の完成度の高さも氏の才能の故である。100年後から現在を振り返って、ゲームがどのように発展していったのか、その過程でどういった問題や事件が起きて行ったのか、そしてこれから発売されるであろう未来のゲームのディテール。全てにおいて圧倒的なリアリティがある。文章を読むだけでどのようなゲームなのかきちんと想像できるような説明。素晴らしい。
これも氏のゲームに対する観察眼、今までの業界への造詣の深さ、そして何よりゲームへの愛の結晶である。
今までに、発売されたものの存在を忘れられたゲームや、悪い噂だけが残って消えていったゲームがどれだけ存在しただろうか。とくにそういったゲームは大きな革新があった時に製造されやすい。ファミコンやPlayStation、ニンテンドーDSにWii、今ではSteamとスマートフォンだろうか。HMDはこれから様々な機種、そしてプラットフォームが誕生し、ほんの一部のみが生き残るだろう。その過程では様々なHMD向けVRのゲームが星の数ほど生まれるに違いない。
最後に模範的工作員同志のTwitterのプロフィールから引用したセリフで締めたい。
"ゲーマー市民よ、幸福は私達の義務です。ゲームを遊びなさい、笑顔で、感謝で、落涙で。"