1   登場人物   

○序幕


劉裕りゅうゆう

幼名は寄奴きど宋王そうおうとなり、丁旿ていごを殺すべく檀道済だんどうさいを派遣した。


丁旿ていご

語り手。手傷を負いながらも劉裕の追っ手から逃れて五柳ごりゅう先生のもとに訪れ、「龍」についての話を伝えた。伝え終わった直後、捕らわれ、殺された。


五柳ごりゅう先生

劉裕、丁旿、檀道済、それぞれより尊重される立場の人物。丁旿より「龍」にまつわる話を聞き遂げた。


檀道済だんどうさい

劉裕配下の大将軍。丁旿を捕らえるも、そのふるまいに忸怩たるものを覚える。丁旿を殺害する。


休元きゅうげん

丁旿を殺すべきである、と語った可能性のある人物。



○龍、来たりて


・劉裕と仲間たち


劉裕

京口けいこうのやさぐれものであったが、孫無終そんむしゅうよりスカウトを受け、東晋とうしん軍入り。攻め寄せる苻堅ふけん軍との戦いの中で苻堅より「龍」を受け取り、過去の王、すなわち「龍」とともにあった者たちの記憶を、丁旿とともに共有することとなった。

淝水では何無忌かむき魏詠之ぎえいしとともに先駆けを行う「驍勇」に選抜され、苻堅軍の陣容にほころびを与える役目を負った。


丁旿ていご

劉裕のおさななじみ。苻堅との戦いにおいて劉裕とともに「龍」を浴び、劉裕と思考、感覚を共有する。そのショックで丁旿のみ白髪化した。退却する苻堅軍にいちど捕らわれるも、苻堅より一本の宝剣を餞別として受け取る。


劉穆之りゅうぼくし

劉裕の弟。喧嘩早い兄のフォローをするうちに思慮深い、というよりは鋭いツッコミと舌先三寸で兄の暴走を抑え込む役回りを担うことになっている。劉裕と丁旿との関係を知ると、今後の方向性を劉裕らに提示した。


諸葛長民しょかつちょうみん

名家のボンボン。檀道済を従え、淝水の戦場を劉裕とともに駆け巡る。


檀道済だんどうさい

諸葛長民に付き従う武人。無口で普段は陰気そうな面持ちでいるが、いざ戦ともなれば劉裕もかくやと言った武威を示す。


劉備りゅうび諸葛亮しょかつりょう董卓とうたく

ちなみに三国志はこの物語の200年前。



東晋とうしん将たち


謝玄しゃげん

晋国軍大将軍。

劉牢之りゅうろうし

晋国軍将軍。


謝玄麾下 万騎将ばんきしょう

劉毅りゅうき(劉牢之の息子)・謝琰しゃえん謝石しゃせき袁山松えんさんしょう高雅之こうがし徐道覆じょどうふく


孫無終そんぶしゅう

万騎将のひとり、劉裕らの上官。劉裕を苻堅との戦いに引き入れた。


桓不才かんふさい

孫無終の副官。


何無忌かむき

万騎将徐道覆の配下。劉牢之の庶子。劉裕の危地に駆けつけて救い、劉裕、魏詠之とともに驍勇として活躍。


魏詠之ぎえいし

淝水驍勇の一人。


朱序しゅじょ

晋の将軍だったが苻堅に捕らわれ、登用された。しかし晋への忠節を失うこともなく、淝水の戦いでは「苻堅が死んだぞ!」と陣中にて叫ぶことで、苻堅瓦解の契機を導く。


謝安しゃあん

東晋の宰相。都の建康けんこうにて淝水の総指揮を取る立場。


桓温かんおん

過日の名将。東晋の軍権を一手に担い北伐に意欲を燃やしていたが失敗、その野望が簒奪に向く。しかし簒奪を謝安に防がれ、失意のもとに死ぬ。



・苻堅軍


苻堅ふけん

東晋に攻め寄せてきた、てい族の王。異民族でありながら、古来の天下の主がつき従えたとされる「龍」をその身にかかえていた。しかし淝水にて劉裕と対峙した瞬間、「龍」を奪われる。


梁成りょうせい王顕おうけん

苻堅軍方面将。劉毅によって撃破された。


トゥバ・ギ(拓跋珪たくばつけい

鮮卑トゥバ部の王。東晋軍との戦いの中で劉裕と出会い、強敵として認めるも、淝水では決着をつけきれずに終わる。


崔宏さいこう

トゥバ・ギの参謀。漢人でありながら、トゥバ部の精兵を意のままに操る。


ヤオ・チャン(姚萇ようちょう

苻堅軍のうちトゥバ・ギが属する軍の大将。


王猛おうもう

苻堅が“腕”と呼んだ、苻堅の身に龍が宿っていた時の同志。淝水開戦当時には既に死亡済み。


ムロン・チュイ(慕容垂ぼようすい

鮮卑ムロン部の驍将。淝水から敗走する苻堅を守るように近侍する。


ムロン・ジュア、石虎せきこ

過去の五胡将たち。


苻融ふゆう

苻堅の弟。淝水にて戦死。

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