明日へチョップ
@rinaxj
売れ残りケーキの決意
売れ残りのクリスマスケーキ。二十三、二十四日になっても全く誰も手に取らない。どんどん新しく作られたケーキ達が出てきて、またどこかの家へと去って行く。
トッピングされた果物は、12月の乾燥した空気によってどんどん色は黒くなり、クリームの下に隠れたスポンジ生地も、どんどん固くなっていく。
「ちょっと前はね、キラキラしてて、甘くてフワフワしてたのよ」と過去の栄光を話したところで今現在のくたびれた現物を見て、誰が快く買ってくれるだろうか。
そんな売れ残りの少し形が崩れたケーキを家へ招き入れて、口へ放り込む。口の中でスポンジとクリームがうまく混ざらず、互いが存在を主張し合って、飲み込むまでに時間がかかった。コーヒーと一緒に食べていて良かったと思えるほどだった。
このケーキも1番美味しかった時期があったはずだった。ただ、タイミングや運が悪かっただけだ。こうして味が落ちて文句を言われるなんて、作った側も想像しなかっただろう。
むしろ美味しい時に廃棄になってしまえば周りもきっと、もったいないだとか、美味しそうなのに!と考えてくれるだろう。そうだ、そうに違いない。
25歳の誕生日の夜。私は買ってから3日過ぎてしまったクリスマスケーキを食べながら決意をした。
26歳の誕生日に、自身を廃棄してしまおうと。
明日へチョップ @rinaxj
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。明日へチョップの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます