第5話オーカーとコバルトの旅
「『ひと』のようだと」
笑いますか? 問えば、複雑な表情で返された。
「世界のルールの中では、普通ではない」
木漏れ日の中、自分と同じ大きさの子雀たちと遊ぶコバルトを見ながら、オウルは続ける。
「だが」
「不思議なことに、俺はお前たち二人の存在を今、受け入れている」
空を受け止めるように、小さな白い羽根を広げコバルトが空を仰いでいた。小雀たちが不思議そうな顔でその様子を見ている。
「ありがとう」
オーカーはぽつりと呟いた。祝福は、尊い。
「オーカー、オウル、来て! 空に太陽と月が見えてるの!」
コバルトが、日差しの中で笑う。軽く羽を掲げ、オーカーは声を返した。
「今降りる! …行こう? オウル」
「…俺はいい」
見返すと、ぐるりと首を向こう側に隠し、オウルは溜息混じりにぼやいた。
「チビどもが逃げちまうだろう」
「まさか」
大丈夫、友達だって紹介すれば平気さ。軽く羽をつつき、促す。それでもなかなか回した首を戻さないオウルに、オーカーは一度軽く跳んでから体ごとぶつかった。
「何をっ」
「さあ、フリーフォール! 滑空のついでにチビさんたちを掴んじゃ駄目だぜっ」
滑空も何も、オーカーが引っ付いているせいでうまく羽を開くことさえできない。結局二羽して、ろくに羽ばたきもしないままキンポウゲの海にくちばしから突っ込む羽目になった。
「強引」
口に入った綿を吐き出しながら非難する。悪びれた様子もなくオーカーは笑い、ばさばさと羽の間に入った綿毛を払った。
「まーふたりとも、生まれたてのヒヨコみたいよ!」
掻き分けてやってきたコバルトが、くすくす笑ってそう言った。
サルベージ小話まとめ 麻野あすか @asanoasuka
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