lost time tailes

始まりも終わりもないようなこの闇の中から、か細い声ですすり泣き、赦しを乞う声が聞こえてきた。それは聞いているだけで心が締め付けられた魂の叫びだった。

 ごめんなさい、ごめんなさい、守ってあげられなかった、ごめんなさい。弱いお母さんでごめんなさい、一緒にいてあげられなくてごめんなさい

 おかあさん、そう、これはおかあさんの嘆きだ。あの闇の中で無数の母を知らぬ、母を切望する魂の叫びと対を為す叫び。あの暗闇にいた所為だろうか。ぼたり、ぼたりと心の中の血のようなものが、ほとばしりかけめぐりあふれてこぼれ落ちる。

「おかあ、さん?」

 世界に色が灯った。

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