epilogue

epilogue

 結局のところ私は何者だったのか判然としないまま、不明瞭な存在に与えられた不明瞭な役割を果たしただけだった。仕舞いになってしまえば存在した記録など、明確だった意識など、認識されていた事象など、全てが忘れ去られ消滅してしまうもので、日々を茫洋とやり過ごしてきたが、そうではなかった。

 一切合財に片がついたあのがらんどうの暗闇から、まだここに残っているからと渡された思いが再びいくばくかの時間をこの炉心に与えたのだった。

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