是非とも紙の媒体で読みたいと思える内容でした。エンタメ的なネット小説というより、文学的な側面が強いのでじっくりゆっくり読んで欲しい作品です。
物語としての求心力や、細かい展開や描写に不足感はあれど、ラストまで読み終えると心動かされること間違いなしだと思います。安易にハッピーエンドにしなかったのも、作品の評価を押し上げるポイントでした。
登場人物それぞれのバックボーンや、方向性や性質は違えど深い愛情、そして少しばかりの不思議要素が、上手いこと作品全体に深みを持たせていました。どちらかというと短編よりの作品だと思いますが、それでもストーリーラインとしては文字数以上のボリュームや充実した読後感を味わうことのできる一作でした。
『愛の物語』には作家さんによって様々なアプローチがあるのですが、今作も記憶に残る愛情の物語として、隠れた名作だったなと感じました。
こういう唯一無二の世界を描けるのは素晴らしいことだと思います。面白かったです。
空間とキャラクター、色使いに心情……と、導入部から浮かび上がってくる「なんとも言いようのない」雰囲気作りが、すでに作者の力量を証明しています。
遣る瀬無さを遣る瀬無いだけでは終わらせず、むかっ腹も悔しさと共に受容し、悲しみや不幸に対し黙っていられない、そんな優しさが随所にちりばめられています。
読めば心苦しい優しさを感じずにはいられません――が、きっとそんな「優しいだけ」の小説では終わらないだろう気迫が、第一話にすでに滲んでいます。
物語はまだ始まっていません。タグやセルフレーティングが気になるところではありますが、「とりあえずフォロって置いて損はなさそう」という期待を込めて、まずは☆2。
数多くの人の目に留まってくれることを祈ります。
4/21 追記
無邪気さと優しさに追い詰められていく主人公。ぶっきらぼうな小さな友人に安らぎの場所を見つけた彼は、やがて友人のために大きな行動を取り始めます。
イイネ! いつしか寄り添うような二人が、共通の目的に向かって行動を起こしたとき、きっと素晴らしいお話が展開されるはずです。
(見る人が見れば、少々病気や症例に文学的な幻想が入りすぎてはいないかと引っかかる部分もあるでしょうが)
☆1プラスしますわ!