二学期

ガイダンス 神話世界の歩き方

【宣伝】


 拙作「邪神任侠」がノベルゼロ様から出版されました。ヤクザが邪神と戦うノワールな作品です。当講座で特集・解説もしておりますので、ぜひお読み下さい。

 とはいえ、この講座を読みに来ている人ならきっともう読んでくれていると思いますが、仮に読んでなかった場合でも書籍版だけ買っておいて下さい。印税はこちらの口座もとい講座を充実させる為の取材費に回りますので、その為の簡単な初期投資ということで。


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【初めに】


 笑って泣ける! ハートフル魔法少女青春ノベル「愛原そよぎのなやみごと」好評発売中! 現在(2017/04/01時点)amazonにて \ 659 となっております!

 皆で買って雪瀬先生を応援しよう! ちなみに俺は三冊買いました!

 “なやみごと”ってひらがなで書いてあるのがチャーミングだよね。

 

 という訳で二学期開講です。

 クトゥルフの話じゃなくていきなり宣伝だったのは私が雪瀬先生を勝手に応援しているからです。

 ちなみに「鈴森君の場合」が発売された暁には一話まるまる掲載記念宣伝回として何かやりたいと思ってます。

 なんなら単行本プレゼントキャンペーンとかやります。自費で。抽選で三名様にプレゼントとかやります。


 さて今回は神話世界の歩き方と題しまして、私が普段どんな資料を使って調べ物をしているかについてお話したいと思います。

 興味を持った方はこれを参考にして自分で気になる知識を収集してみてはいかがでしょうか。

 それでは始まり始まり。


【資料1~インターネット~】


 基本中の基本です。ググれカスと言われて育ってきた世代なので、僕もまずはググります。ググるだけで分からないことの殆どは解決してしまいます。

 ただ、最近は非常に大きな問題が有って、クトゥルフ神話関連で検索すると自分のエッセイが出てきてしまうんですよね。

 自分で書いたものなので内容知ってます。読み返して誤字脱字を発見したり、日本語が怪しい部分見つけて悶絶しながら慌てて書き直すくらいしかできません。

 とはいえ、浅く知るのには非常に便利です。ガンガン使っていきましょう。このエッセイもネットの物ですからね。


 さて、そんなインターネットですが、当然大きな問題もあります。不特定多数の人間によって編集できるwikiなんかですと、情報が間違っていることも多いのです。学術的な記事ですと暇している大学院生が細やかに書いていたりするので詳しいこと多いのですが、ゲームやサブカルになると本当に酷い。旧作についての攻略記事を丸写しして仕様変更に触れてなかったり、キャラのスキルの効果を真逆に書いたり、本当に、本当に、本当に酷い。特に転載については絶対許さないかんな!


 では、そんなネットの海にあふれる不法投棄物に引っかからない為には、どうすべきでしょうか。一番簡単なのは作者がハッキリしている情報を使うことです。例えばネット上に「脳科学辞典」という素敵なサイトが有るのですが、これは筆者と編集者の名前が各ページの最上部に出てくる形式になっています。何処の大学のどんな役職の人が書いてくれたのか一発で分かる方式です。

 こういった形式ですと「そもそも専門家が書いているので間違っているということが少ない」上に「もし間違っていても俺は悪くねえ」と言い訳できるので、非常に良い。匿名文化華やかなネット時代だからこそ、看板を上げて活動することの意味が深まる訳ですよ。


 ちなみに普段私が使っているサイトはCiNii Articlesや個人活動しているクトゥルフ神話ファンサイトなどです。ウィキに載っている情報はあくまで裏とりをしてから使うようにしています。

 特にCiNii Articlesは神話についての考察や現実の文学作品についての面白い話が書いてあるので便利です。あと、個人サイトは自分が生まれる前の作品なんかについて触れられているので凄く良いですね。裏とりが必要になるので大変なんですけど、面白い物がたくさんありますよ。

 あと、クトゥルフの中でも人体や生物に纏わる話はPubmedとかも良いですね。ネット上で公開されているNatureの今週のハイライトとかも良いネタになりますよ。

 クトゥルフ神話、特に生物の進化や奉仕種族を生物学的な観点から考察するのは非常に面白い題材になると思われます。


 あとニコニコ動画のリプレイも好きですよ俺は! 俺はそこから入った口なので!

 

【資料2~書籍~】


 本です。基本的に原典となる神話作品を読み込む戦いになるのですが、原典面白くないことも多いです。だから戦いなんだよ! ふざけんな!

 個人の感想ではおもしろい:つまらない=3:7くらいですね。

 クトゥルフ系の全集をまとめ買いして、気になる話やオススメされた話だけ読めば良いと思いますよ。創元推理社から全集は発売されているので買いましょう。第四巻の「冷気」と「宇宙からの色」は面白いからオススメです。

 あと第五巻収録の「神殿」と「ナイアルラトホテップ」は鉄板です。

 今上げたこれらの作品は「宇宙からの色」を除けばグロ要素少なめで読みやすいのでお薦めです。クトゥルフだからグロや粘液や触手ばかりだと思ってはいけません。

 ありとあらゆる性癖の人間の要求に応えるのがこの神話の懐の深さです。だからまずはこの「這いよれニャル子さん」から……ゴホン。


 という話はさておき、真面目に原典ばっかり当たると時間なさすぎて死にます。クトゥルフ関係の辞典を通読しておくのがオススメです。

 多すぎるので一々上げませんけど、森瀬繚先生の本はオススメです。

 これにエンサイクロペディア・クトゥルフとクトゥルフ神話TRPGのルルブ&サプリが有ると大体なんとかなります。

 クトゥルフ神話TRPGのルルブは資料として滅茶苦茶詳細なので皆さん一度呼んでみて下さい。比叡山を燃やしたり、ホラーショウしたり、ガスライトするのが良いと思います。朱鷺田先生、比叡山をありがとう! クマもっと強くして下さい!

 動物はもっとクトゥルフ神話で推していくべき要素だと思うんですよね。クトゥルフレンズとか出ねえかな……あ、今度けものフレンズ二次創作でクトゥルフレンズとか書くことにしました。何時になるかはわからないけど、よろしくね!

 

 それ以外にも東雅夫先生のクトゥルー神話事典とかもイイっすよ!

 俺がエンサイクロペディア・クトゥルフ大好きなだけで、こっちも詳細な情報が書かれています!

 あとは萌え萌えクトゥルー神話辞典、クトゥルフ世界の歩き方(ウラ表紙がドスケベで森瀬繚先生監修なので最高of最高)とかもいいですよ。

 特にクトゥルー世界の歩き方は逢空万太先生も参加しているクトゥルフ神話TRPGミニリプレイみたいなのも有ります。買おう。


【資料3~現地~】


 徒歩は良い文明。

 か、どうかは別として、実際に見て回ることは大切です。若者よ書を捨てよ町へ出よう。

 電車でも車でも使って気になる所に行ってみましょう。

 大学の図書館、片田舎の港町、古びた神社、打ち捨てられた建物バブルの残影、宇宙的真実はこの世界の至る所に有ります。

 後はそれを見つけだすことができるかどうかです。

 既存の神様への知識というよりは、毎度お馴染みの考察パートを考える時にフィールドワークは役に立ちます。

 町中に有る川の畔でベンチに座りながらインスマウスの影を読む夕暮れとか、良い感じで宇宙から電波が降ってきます。

 そのインスピレーションこそが他のなにものでもない神話知識なのです。

 風が吹いて、顔を上げ、周りに誰もいない町。

 そんな瞬間にこそ、神話世界が貴方の中に生まれ出るのです。

 ラブクラフト御大が夜の夢の中に見たものを、同じように見ることで、貴方もきっと神話世界を歩くことができるはず。

 良ければぜひ一度、お試しください。


【最後に】


 という訳で「普段使っている資料について話して!」とのリクエストにお応えして、今回はいかに普段調査を行っているかについてつれづれなるまま書いてみました。

 情報を手に入れる為には勉強が必要です。それは地道で、さして面白くもなんともない作業ということが多いです。ですが、そうやって調べて思いついた考察や得られた知識は、己の中に確固たる喜びと共に刻まれます。

 楽しむこととは手間をかけることなのです。楽して良い気持ちになりたいなら薬でも飲んでりゃ良いのです。


 ま、それはさておき。大体こんな感じで集めた資料を三時間程で原稿として仕上げ、一晩寝かせて推敲したら完成です。

 ただ現在(2017/04/01時点)、こちらカクヨムで連載作品を書いているのでこちらの更新は遅れる予定です。

 首を長くして待っていて下さい。


 どうしてもクトゥルフ講座の別の記事も読みたい方は先日第一章が完結した「天ヶ瀬アマタの斬魔行路(https://kakuyomu.jp/works/1177354054882713202)」をフォローして、応援コメントやレビューなどでそれとなーくクトゥルフ絡みの話題を振ってくれると急いで書くようになるのでどうぞよろしくお願いします。

 ちなみにこちら「天ヶ瀬アマタの斬魔行路」は北欧神話と江戸時代をミックスした異世界ファンタジーで、架空の都市エドを舞台に、男子高校生が法で裁けぬ悪を籠釣瓶村正ダインスレイブでぶった切る痛快必殺時代劇となっております。

 時代劇具合は銀魂程度を想定していただければ幸いです。

 皆読んでね! 是非読んでね! そして感想頂戴!!


 それでは今日のクトゥルフ講座はここまで。

 次回までくれぐれも闇からの囁きに耳を傾けぬように。

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