補講 三講目 イグってなぁに?

【宣伝】


 拙作「邪神任侠」がノベルゼロ様から出版されました。ヤクザが邪神と戦うノワールな作品です。当講座で特集・解説もしておりますので、ぜひお読み下さい。

 とはいえ、この講座を読みに来ている人ならきっともう読んでくれていると思いますが、仮に読んでなかった場合でも書籍版だけ買っておいて下さい。印税はこちらの口座もとい講座を充実させる為の取材費に回りますので、その為の簡単な初期投資ということで。


 アマゾンの購入ページはこちらです!

 http://amzn.asia/bzDadtK


【初めに】

 

 今日は皆さんに良い知らせと悪い知らせが有ります。


 まずは良いお知らせからです!

 こちら「初めてでも良く分かるクトゥルフ講座」がなんとカクヨムマガジンvol.2に掲載されることとなりました。これも皆さんの応援のお陰です。本当にありがとうございます。そしてそれを認めてくれた運営様にも深い感謝をば。この作品に関わった全ての人の力ですね。

 こちらカクヨムマガジンvol.2は、各種電子媒体において、無料で配布されるそうなので是非とも楽しんでくださいね!


 さて、悪いお知らせです。

 このクトゥルフ講座の内容が某動画サイトで無断転載されてました。基礎的な知識はともかく講座の言い回しから何からマルっとツルっと盗まれておりまして、正直洒落になりません。

 現在、カクヨム様への通報及びyoutubeに対するiOSアプリからの報告、並びに神話生物の召喚をして差し向けているところなので、今後対応されるかと思います。(2017/03/04時点)

 これの何が悲しいってケイオスハウルの広告が全部カットされているところですね。ケイオスハウルの宣伝の為に始めたエッセイなので本当にこれはなんかもう……辛い。

 このエッセイを読んだ皆様、良ければyoutubeやカクヨムの方に報告してくださいませ。沢山問い合わせがあると動きやすいかと思われますので。

 

 そして悪いお知らせその2です。なんとリアル先輩にこのエッセイがばれてしまいました。恥ずかしくて死ねますね。でも大丈夫。元から恥ずかしい男なので何一つ問題ありません。

 ……いや、これはいかんな(エッセイを読み返しながら)。

 いかんな……(ケイオスハウルを読み返しながら)。

 どうすんだよこれ!!!!!!!!!(ツイッターアカウントにおけるプリキュア語りを読み返しながら)

 悪いことって続きますね。


 さて、お知らせコーナーは終了です。今回取り上げる邪神の話をしましょう。

 今回取り上げる邪神はイグ。全ての蛇の祖とされる存在であり、クトゥルフ世界ではヴァルーシアと呼ばれる土地に古代帝国を築いた蛇人間の崇める神です。

 とはいえ、この神は崇めるものには分け隔てなく恵みを授ける所から、人間にも崇められるという大変“話せる”神様でございます。

 TRPGのシナリオでも、その他の創作でも便利な神様だと思われますので、しっかり学んで楽しく使っちゃいましょう!


【概要~姿無き蛇神~】

 

 蛇神と言いましたが、このイグは原典にあたる作品だと、その外見は描写されていません。この邪神が取り上げられた作品の中でも代表作にあたる“イグの呪い”ですら、明確な外見の描写はありません。半人半蛇のイグという表現しかされていないのです。しかもその半人半蛇という形容さえ物語の主人公が伝え聞いただけであり、確定した情報は何も有りません。


(詳しく知りたい貴方は創元推理文庫様から出版されているラヴクラフト全集別巻・上を買ってね!)


 とはいえ、ケツァルコアトルやククルカンと同一視される以上、蛇を思わせる姿をしていることには間違いないでしょう。

 クトゥルフ神話TRPGでは比較的人に近い姿で、登場しています。うろこに包まれた人間ということで、非常に女体化のさせがいがありますね。


【概要~どんなことをする神様なの?~】


 蛇をいじめた奴はバリバリ呪うぞ! というとてもシンプルな性質を持つ神様です。とはいえ呪うばかりではなく崇め奉ることで庇護や恵みを受けることもできます。クトゥルフ神話の神々の中ではかなり話せる相手です。ちなみにとうもろこし大好き。北海道に観光に来ないでしょうかね。季節になるとスーパーに安く大量に並んでますし、知り合いの農家さんに特別良いのを用意してもらって、道産とうもろこしにドハマリしてもらいたいんですが。

 そうだ! 邪神様のごはんの作者様がそんな話を書いてくれないかなあ!(二度目の宣伝タイム)


 さて、呪いの内容はとても強烈で、全身が苦痛に苛まれた後、人とも蛇ともつかぬ醜悪な姿に変えられてしまうという内容です。更に、場合によっては蛇の子を孕まされ、それを産んだ後に死に至ります。蛇の子など孕みとうないって感じですね。

 呪いの犠牲者や、生み出した異形の肩に当たる部位には特徴的な斑紋が浮かび上がり、明らかに通常の生物ではないということが分かるのだとか。

 動物を大切にしないやつは死んでしまえというストロングかつパワフルなスタイルですね。旧き良き神様って感じです。

 実はこの呪いの被害に遭っているのは人間だけではありません。

 かつて栄華を極めた蛇人間達も、イグからツァトゥグアに信仰対象を乗り換えた結果、イグにバリバリ呪われてます。

 知性を奪われ、只の蛇同然となり、シューシュー言うことしかできなくなってしまいました。

 このあたりのことについてはツァトゥグアの項でも触れていた気がするので、是非ツァトゥグア回を読み返してくださいね。


 ちなみに、恵みとか庇護とかは、魔術の知識や毒への耐性だとされています。古代から信仰していた蛇人間にとっても、アメリカの大地に暮らすネイティブアメリカンにとっても、欠かせない恵みです。

 TRPGの方では神々に対して接触する為の呪文を教えてくれる存在であり、比較的気軽に取引で色々教えてくれます。

 魔術を教えてもらう場合は、満月の夜と新月の夜に生きている動物を生贄に捧げる必要が有るみたいです。


 それにしてもやっぱこいつ北海道に観光に来るべきなのでは……? ジンギスカン美味しいよ……? ベルのたれでジンギスカン食べよう……?

 ベル食品のジンギスカンのたれは250円程度で北海道各所のスーパーで好評発売中! 伝統と信頼の味を皆も体験してみよう! 最近は東京とかでも売られているらしいよ!


【概要~イグの戦士達~】


 さてそんなイグですが、実は部下が居るという話が有ります。これはTRPGの方の設定だと思われるのであまり詳しいことは言えないのですが、この中に二つ程見覚えの有る名前を見つけました。

 キングーとネルガルです。

 キングーはご存知ティアマトの息子で、彼女の二番目の夫となった存在です。FGOにも出ていたよねぇ! わかるとも!

 ネルガルは機動戦艦ナデシコなんかで名前を聞いたことがあるかもしれませんね。太陽と死者を司る神です。TRPG大好き勢は範囲攻撃を司る神ですよね。一部のTRPGプレイヤーはネルガルヘイムダルヘルと聞くとかなりの確率でオーディンって叫びだします。お前何言っているんだと思う方は身近に居るかもしれない卓ゲ者に聞いてみて下さい。


 さて、このキングーとネルガルはメソポタミア神話の神でして、それがイグの部下となっているのは少し不思議な感じがしますね。

 元々イグは南米神話にルーツを持っていると推測されていたのですが、此処に来て唐突なメソポタミア推しです。

 ケイオシアム社がかの神に関するミッシングリンクをつなぐなにがしかの情報を手に入れている可能性は有ります。

 私のような好事家レベルとは異なり、あの万魔殿では日夜凄惨な魔術儀式が……!

 嘘ですごめんなさい。

 皆も買ってねマレウスモンストロルム!


 さて、真面目にこのあたり考察すると、南米と中東をつなぐミッシングリンクを想定しなくてはいけません。

 私はこのミッシングリンクこそが、蛇人間が一大勢力を築き上げていた超大陸パンゲアだと思います。

 メソポタミア神話における天地創生の物語(エヌマ・エリシュ)とは超大陸パンゲアの破壊であり、自ら生み出した生命による裏切りで追いやられ、最後には反撃に打って出たティアマトとはイグのもう一つの名前だったのです。

 だとすれば、ティアマトが現生人類相手にも優しい理由は理解できます。

 なにせ、かつて裏切られたとはいっても、その子孫達は自分の子孫でもある訳ですから。

 敬い、貢物を捧げるならば、神として人間達を守った所で何一つおかしくはありません。

 願わくばこの仮説を証明、あるいは否定する何かの材料が見つかれば良いのですが……。

 メソポタミア神話、南米神話に詳しい方がいらっしゃいましたら、情報提供お待ちしております。


※追記(2017/03/05)

  ティアマトは母なる神ですが、イグは全ての蛇の父と呼ばれています。今ぶちあげたとんでも仮説に対して矛盾しているような感覚も受けます。これについては神が両性具有であるとか、あえてその本質を隠す為に属性を反転させたとか、そもそも縁は有るけど別の神だよとか、色々考えられるのですが、決定するに至る資料が残念ながら手元にありませんでした。


【最後に】


 以上がイグの紹介となります。いかがでしたか?

 調べてみると意外なことに考察の甲斐が有る神でした。

 今回はここまでにしておきますが、情報次第ではもう少し掘り下げられる気がしますので、情報提供お待ちしております。

 

 今回は邪神様とごはんの蒼鬼さんからのリクエストでした。

 こちらの作品はクトゥルフ神話の邪神が綺麗なお姉さんと素敵なごはんに舌鼓を打つほのぼのクトゥルフの名作となっております。

 皆さんも是非お読み下さい。

 

 それでは次回まで闇からのささやきに耳を傾けぬように。


【CM】

《天ヶ瀬アマタの斬魔行路》

「人の世の法で裁けぬ悪鬼共――魔剣の刃に、血濡れて眠れ!」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882713202

現在カクヨムにて連載中!

異世界物かつ仕事人となっております。

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