第4回 シュブ=ニグラスってなぁに? 改

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 拙作「邪神任侠」がノベルゼロ様から出版されました。ヤクザが邪神と戦うノワールな作品です。当講座で特集・解説もしておりますので、ぜひお読み下さい。

 とはいえ、この講座を読みに来ている人ならきっともう読んでくれていると思いますが、仮に読んでなかった場合でも書籍版だけ買っておいて下さい。印税はこちらの口座もとい講座を充実させる為の取材費に回りますので、その為の簡単な初期投資ということで。


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【始めに】

 第四回を迎えました初めてでもよく分かるクトゥルフ講座。皆様からの評価のおかげで、エッセイ・ノンフィクションのランキングに名前を刻ませてもらっております。まだ内容も少なく、不十分な所は有りますが今後も充実を図っていく所存ですので何卒よろしくお願いします。あとリクエスト、リクエスト本当にお願いします。何やっていいのか分からなくなってしまうので。

 さて、今回はシュブ=ニグラスを取り上げていきたいと思います。この外なる神(旧支配者よりやばい神々という解釈で良いです)は旧いヨーロッパで信仰されたドルイドや魔女の教えがモチーフになっています。ヨーロッパを舞台に伝奇物的な話をやるならば特にオススメの神格となるでしょう。

 ちなみに現在私が執筆している「邪神任侠~仁義なき探索者~」でもボス張っているのでぜひ読んで下さい。

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 あと、今回とりあげるシュブ=ニグラスはのような邪神です。

 それに伴いsealもナチュラルに卑猥なこととエッチなことと性癖に関わることを話し続けますが保健の教科書を見る時のような澄み渡った気持ちでご覧になるか、そっと見なかったことにして次回のリクエストついでに「性的すぎませんかねこれ!?」と耳打ちしてください。


 それでは始めます。


【概要~どんな神様?~】

 シュブ=ニグラスは「千の仔を孕みし森の黒山羊」という二つ名を与えられた豊穣多産を司る神です。山羊って多産な上にミルクやお肉を齎してくれますし、獣姦のように不道徳な行いとも非常に縁が深いので、豊穣を願う邪教淫祠と非常に相性が良いみたいですね。そんなところからキリスト教でも悪魔のモチーフに使われてますが、こちらでは何故か男性の悪魔になっています。なんでこういう余計なことするんでしょうか。色々とがっかりです。


 そもそもシュブ=ニグラスの元ネタになったと思しきアシュタルトは世界各地で女性扱いされているのですが、キリスト教圏でだけなんですよね。キリスト教では堕天使とされているのでもしかしたら両性具有なのかもしれませんが、資料とかざっと読むとむさいおっさんになってることが多いので本当にがっかりです。がっかりです。がっかりです。


 これは推測に過ぎないのですが、萌えを見出すことによる信仰の集積を恐れたキリスト教が美人のおっぱいお姉さんからむさいおっさんに姿を歪めることで、アシュタルトの力を削いだのかもしれませんね。ファッキンクライスト!


【概要~見た目は?~】

 それはさておき外見の解説。


 黒い雲のような肉塊から無数の黒い触手、そして短いながらも蹄のついた足を生やしたグロテスクな姿をしています。そんな姿で豊穣も何も無いと思われますが、クトゥルフ神話はだいたいそんなものです。


 某萌え本の中でも随一のクオリティを誇ると噂の某神話事典だとケモミミ山羊角子連れおっぱいとやりたい放題やってますね。素晴らしい。


 化身としての姿は色々有ります。女性の姿の化身(この時は思考能力も人間並みになる! あざとい!)が居たり、男性の姿の化身(ギリシャ神話のパンに類似)が居たりするので、ヒロインにも竿役にもなれる美味しい奴です。一応ハスターが旦那ですけど「化身だから別」とか「邪神なんてそんなもんだろ?」で大体乗り切れます。邪神任侠では女性の化身が出ているのでめっちゃチェックしてください。


 勿論これだけではなく枯れ木のような姿や醜怪にして神聖な肉柱など化身は色々有ります。クトゥルフ神話TRPGのルルブを買って皆もシュブと握手!しましょう。


【概要~色々爛れた家族構成~】

 このシュブ=ニグラスには多くの伴侶が居て、多くの神格との間に悍ましい子を作っています。人間との間にも前述の男性型の化身を使って子供を作るとされています。ただしクトゥルフの神格は多くの場合人間との性的な儀式にはノリノリで応じてくれるので、これはそこまで珍しいことでは有りません。とんだドスケベ共です。


 まあ要するにシュブ=ニグラスは邪神の中のビッチキャラというイメージで間違いありません。

 個人的な意見なのですが創作的に扱いやすくて話を盛り上げてくれるのが良いビッチで、読者のヘイト集めすぎるのは悪いビッチです。シュブ=ニグラスは邪神という属性上ファッキンビッチな悪役にしても、主人公は特別な感じの純情ビッチにもできるので最高のビッチですね。ちなみに英語圏では我々のイメージするビッチはスラット(なめくじ)と呼ぶそうです。一つ賢くなれますね。


 さて元の話に戻りましょう。シュブ=ニグラスがとんだファッキンビッチだということを示すエピソードがまだ有ります。

 ヨグ=ソトースとの間に作った子であるナグ(こいつも凄いのですがリン=カーターのせいで今ではすっかり小神扱い)の息子(つまりシュブ=ニグラスの孫)であるクトゥルフの眷属と信者を通じて戦うことも有ったそうです。

 これは彼女がクトゥルフと対立するハスターの妻だからではないかと考察されています。一度産み落とした子供にはそんなに興味が無いんでしょうね。

 彼女の直接の子供であるナグとイェブには結婚・妊娠・出産に対する嫌悪をかきたてる力が有るのではないかという説も有りますし、「お母さんはね、母親である前に女なの」的な酷い邪神なのでしょう。もしかしたら孫であるクトゥルフが自分の子供に優しいのはこんな酷い祖母の影響があるのかもしれません。人間的には本当にどうでも良いことですけど。

 ちなみに父親役としてニャルラトホテプの従姉妹、あるいはその落とし仔を孕ませて、ティンダロスの猟犬を産ませたこともあるそうです。こいつらレズです。ipsです。

 このティンダロスの猟犬、実はヨグ=ソトースと対立する存在だと言われています。ヨグ=ソトースが「球の時間」と呼ばれる我々の存在する時間を支配する存在なのに対して、ティンダロス達の王は「角ばった時間」と呼ばれるまた別の時間を支配しているのだそうです。この二つの重ならない時間を巡ってこの二者は争っているのだとか。子供を産ませて昔の男と争い合わせてますよこいつ。


 しかしアザトースの子供であるところのニャルラトホテプの従姉妹ってどういうことなんでしょうね? アザトースに兄弟でも居るのでしょうか。アザトースよりも恐ろしい存在が居るという示唆はされているので、そのあたりに関わってくるのかもしれませんね。全てはラブクラフト先生かE・P・バーグランド氏の頭の中です。


【概要~神としての活動、信仰の状況~】

 さて、一柱の神として彼女の性質を纏めてみましょう。

 彼女は地母神として大地の属性を受け持つ外なる神です。

 自らの信奉者をガタノソア(これが先ほどのクトゥルフの眷属)から守ったり、大地の恵みをたっぷりともたらしたり、現世利益を信者に与える側面から人間にも人外にも多くの信者が居たと設定されています。

 特に「黒い仔山羊」という彼女の眷属が信奉者達にとっての貴重な食料になったそうです。しかしその話について書いた本の引用元が確かめられませんでした。申し訳ありません。

 地球だと初期キリスト教にまぎれて黒塗りのマリア像をご神体とする形で信仰されていたそうです。また、世界各地の豊穣神信仰は全てこのシュブ=ニグラスに繋がるということでした。

 一定数の生け贄を捧げればそれ以上の数の人間を養うに足る恵みを与えてくださる訳ですから比較的マシな神格です。というか他所の宗教の神様とさして変わりません。別に信奉者が生け贄である必要も無いので適当にコミュニティの外から人を攫ってくればオッケー、お手軽!


【概要~生きているなら神でさえ殺してみせる~】

 この地上に顕現した場合は炎や雷、魔法による攻撃以外は無効です。逆を言うとそれらの攻撃は簡単に通るので案外倒しやすい邪神です。ダイナマイトをありったけ敷設した場所に誘導できれば着火で一気に耐久力を削り切ることができます。一点でも残ったら大人しく死ぬより酷い目に遭う覚悟をしてください。ゲームでしたら大人しく二枚目のキャラシを出すかKPに土下座するか、その両方をやってください。基本的にクトゥルフ神話TRPGは邪神を爆殺するゲームではありません。


※ただしクトゥルフホラーショウと比叡山炎上は例外です

 

 こういった便利なキャラクターなのでTRPGのセッションでは積極的に使う事ができます。

 シュブ=ニグラスを召喚するのに最適だとされるのはメイ・イブと呼ばれる五月直前の収穫祭の夜だそうです。奇遇なことにスーパーケルティックビッチスター・メイヴちゃんの名前とそっくりですね。この二つをわざと混同させてメイヴちゃんはシュブ=ニグラスの化身の一つだったんだよ!! というシナリオとか如何でしょうか。最後はケルトの偉大な英雄が残した呪文とか見つけてイイカンジに撃退すればオチがつきます。もしもこんな感じのシナリオをやる時が有ったら是非私を呼んでください。

 ただし一つだけ注意していただきたい。TRPGをやる上で性的な描写は非常に繊細な問題を孕んでおります。場合によっては嫌がる方もいらっしゃいますので最初に「エロいことやりたい人あっつまれー!」としっかり言っておきましょう。コンセンサスは全てに優先します。


【最後に】

 そんな訳でシュブ=ニグラスでした。今回は普段話せないしょうもない話までできて非常に書いてて楽しい話になりました。全体として纏まりや正確性に欠けるところがありますが、正確性やまとまりを求めたくなったらクトゥルフ系の参考資料集を是非買ってください。クトゥルフには未訳の原作や資料などが数多く有ります。入手も翻訳も非常に面倒です。しかし皆様が買ってくださればそういった資料が和訳された上で日本の流通に乗る可能性も有ります。そういった日を筆者は心から待っております。


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