第3回 ノーデンスってなぁに? 改
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拙作「邪神任侠」がノベルゼロ様から出版されました。ヤクザが邪神と戦うノワールな作品です。当講座で特集・解説もしておりますので、ぜひお読み下さい。
とはいえ、この講座を読みに来ている人ならきっともう読んでくれていると思いますが、仮に読んでなかった場合でも書籍版だけ買っておいて下さい。印税はこちらの口座もとい講座を充実させる為の取材費に回りますので、その為の簡単な初期投資ということで。
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【始めに】
早くも結構な反響を頂いております「初めてでもよく分かるクトゥルフ講座」。レビューやツイッターにおける皆様の温かいお言葉、嬉しい限りです。
卓ゲのクトゥルフを今度やるという方もいらっしゃるそうで、そのうち一人の卓ゲ者としてクトゥルフ神話TRPG講座みたいなのもこちらで一回分とってやってみたくなりましたね。
今やTRPGはクトゥルフにおいて無視できないファクターとなっております。かくいう私も卓ゲの動画から入り、キックで笑い、真剣に様々な場面での跳躍の活用方法を考えた人間です。
現在書いているケイオスハウルも当然TRPGに色濃く影響を受けています。皆さんも是非卓を立ててみてください。そして私を呼んでください。多分自作品のキャラで参戦します。卓呼んでください。
2016/07/30時点で一部改稿させていただきました
理由ですか? 私の大好きな某英雄召喚ゲームで第六章が発表され、そこでアガートラムが話題にされていたからです。
詳しいことはネタバレになるので避けますが、非常に面白いストーリーなので一度やってみてはいかがでしょうか。
【概要~スイッチオン、アガートラム!~】
ノーデンスは旧神と呼ばれる(比較的)善なる神々の中でも最高位に位置する存在です。
貝殻の戦車をイルカや馬のような生き物に牽かせ、輝ける
深い魔術の知識や威風堂々たる老人の姿からはオーディンを、
彼らしき神が雷を振るって旧支配者と思しき存在を打ち砕く描写がネクロノミコンの中に有るという話を聞いたことがある気がするんですが、どなたかそれらしきものを持ってたらご連絡ください。
【概要~人間が嫌い? 好き?~】
さて、そんな彼ですが魔術師や夢見人に対して格別の愛情を持っており、彼らをドリームランドに招き入れることもあるのだそうです。善なる神々といっても、その愛情表現が人間にとって迷惑なことには変わりないんですね。実にクトゥルフ。
現在眠りの中に居る旧支配者(邪悪な神々)の封印を監視する役目も彼のもので、彼が油断して眠ってしまおうものならば旧支配者が復活して地球がやばいのだとか。
【概要~神話世界への導入の経緯と背景~】
文献にもハッキリとしたことは書いておらず、基本的に謎の多い神格です。
まずアーサー・マッケンが作品に出したノーデンスをラブクラフトが気に入ってクトゥルフ神話に組み込みました。そこでダーレスがその後から旧神の概念を導入し、ノーデンスも其処に組み込まれたという歴史が有ります。
ダーレスはラブクラフトの親友であり、クトゥルフ神話を発展させた偉大な作家なのですが、いかんせんその過程で色々と評価の分かれる行動もしていまして……あまり好かれていないのです。
なのでこの神についても多くの作家が触れづらいと考えているのかもしれませんね。
触れづらいといえば、ラブクラフト御大が自らノーデンスをヒロイックな救いの神として描いているという点も当時のクトゥルフ界隈では触りづらいポイントだったのかもしれません。
【閑話休題~クトゥルフ神話の変化~】
個人的にノーデンスは今こそ取り上げられるべき神だと思っています。
クトゥルフ神話が形成されていった時期、科学や進歩は恐怖と共に人に受け入れられていました。ラブクラフト自身が持つ技術及び未来への恐怖、そして自身の暗い過去に基づく古い時代からの恐怖、この二つがクトゥルフ神話のホラーとしての骨子になっていると言っても過言ではないでしょう。神話がこうして支持されたのもそういった得体の知れない恐怖に多くの人が共感したからに違い有りません。
しかし今は2016年。色々と事情が違います。そういった恐怖は次第に薄れ、恐怖の対象は技術そのものよりもむしろ人間の起こすテロや思想の対立、貧困といったものへとシフトしています。かつてのクトゥルフ神話が生み出した恐怖像は今の人間には共感しがたいものが増えてきていることは間違いないでしょう。タコが多少ヌルヌルしてたところで塩で洗ったり茹でたりして食っちゃいますからね、日本人とかイタリア人とか。
この状況でクトゥルフ神話を盛り立てていく為には更なるアップデートが必要なのではないかと私は考えます。
例えば演出ならばスーパーロボットを出したり、邪神美少女化であったり、TRPGのトンチキなサプリで旧来の暗く湿った雰囲気を吹き飛ばすのも有りでしょう。
こうしたライトでポップな話にするならば物語の筋やテーマも勿論変わります。そう、愛と勇気と希望です。今回取り上げられるノーデンスもその物語では良いキャラクターとして働くに違い有りません。銀の腕とか魔術とか雷とか格好いいですからね。
そんな変化が認められるかどうかは別として、日本では過去にも類似の神話変質事例が発生しています。そう、妖怪です。江戸時代、真剣に恐れられていた怪異は戯作の中で妖怪として親しまれるキャラクターへと変貌をして生き残り続けました。これは文化の中心であった江戸の街がそこそこに平和で、名前だけが残っていた怪異が娯楽の題材に供され続けた結果ではないかとされています。
さて、同じことが今、クトゥルフ神話に起きているとして何の不思議があるでしょう? 万物は流転し、かつ歴史は永劫に繰り返す。これからの時代、クトゥルフ神話もそういった形で変化していくのじゃないかと私は思います。
勿論、ホラーとしての純粋なアップデートも良いことです。生憎とホラーは専門ではないのですが、例えば人間同士の憎しみや無理解を煽り立てる邪悪な神なんて今の時代にぴったりなのではないでしょうか。
その点便利だよなこのニャルラトホテプって!! と思うのですがこの辺りの説明はニャル回に任せて話題を変えたいと思います。
【概要~ノーデンスとは何者なのか~】
だいぶ話題がそれてしまいました。本題に戻りましょう。
ちょっとノーデンスの正体について考察してみたいと思います。
そもそもアトランティス人は彼を
とはいえクトゥルフ世界のアトランティスの信仰は時間とともに節操無く変わっており、ニャルラトホテプの化身であるトート神(これも魔術神)によって建国されたかと思えば旧支配者によって滅ぼされ、邪神ガタノゾ……失礼、旧支配者のガタノソア信仰が強かった時代も有れば、旧神のバステトが強く信仰されていた時もあります。幾つもの王国が入れ代わり立ち代わり勃興したのが原因なのでしょうね。
そんな中でカルトが無かったにもかかわらずよりにもよって魔術の神として広く信仰されていたノーデンスはやはり特別な力が有ったのでしょう。
ただ不思議なのはアトランティスに人の王国を生み出したのはニャルラトホテプの化身であり、同じくアトランティスでニャルラトホテプと対立するノーデンスが広く信仰されている点です。
ここからが私の考察なのですが、ニャルラトホテプの化身であるトート神は彼なりの信念により人類に味方したニャルラトホテプ(拙作ケイオスハウルの一部のニャルみたいなもの)であり、ノーデンスはその盟友だったのかもしれません。だとすればノーデンスがニャルラトホテプに対して敵意を抱いていたり、ノーデンスがニャルラトホテプと同じように夜鬼と呼ばれる奉仕種族(邪神に仕えるクリーチャー)を使役する理由にもなります。
彼は今は亡き友の力を受け継ぎ、友の悪しき半身達との永劫の戦いに身を投ずる戦士かもしれないわけですよ! 熱くないでしょうか!? これならラブクラフトがヒロイックに書くのも納得ですよ!
是非とも皆さんこの説をこの作品の名前と共に広く喧伝してください!
少々短いですが、切りが良いので今日はここらで〆させていただきます。
ほんとうに少ないんですよノーデンスの資料。
【最後に】
なんだかんだと第三回です。今のエッセイ・ノンフィクションに風穴開けてやるくらいの気概とクトゥルフ神話に対する知識欲を以て始めたこの企画ですが、皆さんから好評をいただけて嬉しい限りです。
レビューや評価は明日を書く為の力になります。
さてさて次回はシュブ=ニグラス! 資料多くて比較的書きやすいかな? 実はケイオスハウルのメインヒロインのナミハナが単騎で倒してきた神がこいつです。案外倒しやすいんですよデータ的にも。やるならダイナマイトとか超おすすめですよ。俺がKPだったら頼むからやめてねって言うけどデータの上では可能です。
でもクトゥルフホラーショウとか比叡山炎上ルールだったら面白いから許可します。
クトゥルフ神話TRPGをやる時はGMの用意した舞台に合わせたキャラでロールしましょう、sealとの約束だよ? 守らない悪い子には萎縮の呪文です。
それでは次回までくれぐれも闇からの囁きに耳を傾けぬよう……
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