第2回 アザトースってなぁに?

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【始めに】

 早速リクエストいただきましたので書かせていただこうと思います。今回のお題はアザトース、クトゥルフ神話の主神を挙げろと言われたらこの邪神をおいて他にありえません。意外かもしれませんが、クトゥルフという神格自体は主要な神々の一柱でこそあれ、別に神々の王というわけではないんですよ。

 クトゥルフ神話という名前はラブクラフトの弟子のダーレスが付けたものとされています。とはいえ文通によって他の友人(これはおぼろげな記憶ですが確かクラーク・アシュトン・スミスさんだった筈です)との間でも使われている形跡は発見されたそうで、ダーレスの創作という訳でもないそうです。


 ちなみに前回上げまくったダーレスですが、他の作家の執筆への統制がきつすぎたり、ラブクラフトの設定に独自に改変を加えた(現在は否定する資料も発見されたとか)と言われていたり、彼への評価は賛否両論です。下手に最高だよねダーレス! とか言うとクトゥルフ警察が来て貴方をアザトースの玉座(この後説明します)に連れていくことでしょう。

 ぶっちゃけ今生きてたら日本のクトゥルフ文化に物申し続ける面倒な人になっていた可能性が非常に高いと思われます。


 ですが、クトゥルフをホラー以外の様々な分野に飛翔させる素地を作った偉人であることは間違い有りません。

 ね? 簡単に割り切れない人でしょう? ちなみにsealはこの人大好きです。自分はパスティーシュと呼ばれる先駆者の作品を模倣するスタイルを好む性格なのですが、こちらダーレスさんは偉大なるコナン・ドイルのシャーロック・ホームズのシリーズのパスティーシュを書いた作家として広く知られています。自分の好きなものを模倣しながら自分なりの味を付け加えていくという試みをするのは楽しいものなのです。

 さて、それではアザトースのお話に参りましょう。


【概要】

 アザトースは旧支配者と呼ばれる人間に仇為す神々の王であり、最も強い力を持つ存在であるとされています。無限に広がる宇宙の中心、時間を超越した存在と虚無の地平「アザトースの宮廷マウス・オブ・マッドネス」において、不定形な泡立つ影の姿で原初の宇宙の有様にも似た膨張と収縮を繰り返すアザトース。我々の存在するこの世界さえも、実のところ彼が長き微睡みの中で見る儚い夢に過ぎないのだそうです。

 彼が目覚めたその暁には三千世界は崩壊し、森羅万象の理は捻じれ、彼を除いて後に何が残るかなど想像さえつかないような事態へと陥るでしょう。

 余談ですが、私が書いているケイオスハウル(クトゥルフ神話の知識を持つ高校生がドリームランドでチートする話)においてニャルラトホテプと呼ばれる邪神が主人公に対して「アザトースの覚醒を止めなくてはならない!!」と言うと、主人公がすぐに協力の意思を固める理由はこういう訳なのです。


 とはいえ、この神が最初から盲目白痴であった訳ではありません。むしろ最初は邪悪なれど輝ける知性を持った存在だったそうですが、旧支配者に対立する(比較的)善なる神々“旧神”によってその知性を封じられてしまったのだとか。ラッキー。

 ちなみに旧神の代表例としてはM78星雲から来た星の戦士や、ケイオスハウルのパクリ元の一つであるロボットゲームの主人公が挙げられます。後……旧神に関しては実に面白い偶然の一致が見られるので「M78星雲 星の戦士」で検索してみてください!

 

 さてアザトースの話に戻りましょう。知性を失ったアザトースですが、彼の意思を叶える代行者として息子であるニャルラトホテプが暗躍しております。このニャルラトホテプは独断専行が玉に瑕ですが、頼んだことだけはやってくれる可愛い息子なのです。他所の旧支配者からは嫌われているのですが、そんな子程可愛がりたくなるとかならないとか。


 また、アザトースにはニャルラトホテプ以外にも様々な子供、そして孫が居ます。伊達にクトゥルフ神話の主神をやっているわけではないのです。まずニャルラトホテプ以外の子供として無名の霧マグヌム・インノミナンドゥムマグヌム・テネブロスムが代表的です。

 無名の霧は時を司る旧支配者ヨグ=ソトース、闇は旧支配者シュブ=ニグラスをそれぞれ生み出しています。こいつらそれ以外の記述が殆ど無いんですよ、泣けてきますね。無名の霧には奉仕種族としてガグが居るくらいでしょうか。創作者の皆さん、自分勝手に設定付けて遊ぶチャンスですよ。

 他にもアザーティと呼ばれる落とし子(基本的に自らのパワーに耐えられず砕け飛び散った欠片としてバラバラバラになる為だけの存在)や、アザトースの種子と呼ばれる核爆弾そっくりの性質を持つ落とし子などが居ます。しかしいずれも基本的に地味なキャラです。

 従者である下級の神々については明確にクトゥルフ神話作品で出たことは殆ど有りません。緑の炎であるトゥールスチャや優れた音楽家であるエーリッヒ・ツァンを連れ去った神(トルネンブラと名前をつけられてはいますが原作では名前が無いことになっています)、などが一応居るということはあげておきます。


 万物を作り、また壊す力を持つアザトース。人によってはそれを核の力の擬神化であると言います。

 破壊と再生を司る存在が、この世に存在するすべての物体の最小の単位である原子の力を引き出す技術の象徴なんて、中々皮肉が効いていますね。

 ちなみにクトゥルフ世界では核爆弾の開発を後押ししたのはニャルラトホテプだとされています。

 我々が為した進歩とは本当に進歩だったのか、我々が手に入れた力とは本当に我々の物なのか、あるいはそれが外なる神々の悪戯かもしれない可能性を時々で良いから思い出してください。本当に盲目白痴なのはアザトースではなく我々なのかもしれません。


【最後に】

 という訳でアザトースの解説を終えたいと思います。私の書いているケイオスハウルのラスボス(予定)なので本当に楽しく書かせてもらいました。知っているつもりの邪神でも調べ直すと案外面白いものですね。

 今回の解説ではいくつかの旧支配者の名前が出てきましたが、興味の有るものがありましたら是非紹介のリクエストをください。

 次回はリクエストが有ったのでノーデンスの予定ですが、その後の話は未定です。

 それでは今日はこの辺で。

 あと、クトゥルフに興味が湧いたら是非とも斬魔機皇ケイオスハウルを覗いていってください!


【CM】

《天ヶ瀬アマタの斬魔行路》

「人の世の法で裁けぬ悪鬼共――魔剣の刃に、血濡れて眠れ!」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882713202

現在カクヨムにて連載中!

異世界物かつ仕事人となっております。


【追記】

ダブルクロス3rdにアザトースシンドローム来ましたね。能力値は1102です。俺のサイドエフェクトがそういっている。早く遊びたいです。

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