【神殿と精霊人形】

…………クライド=アリアス中央都市付近にある白金の大神殿。

明りは壁に付けられた紅い灯火のみで、中は薄暗い。

最奥にある水晶と森林が彫られた扉。その横に作りつけられた、翠玉の椅子。

その椅子に深く座って俯いている華やかな飾りを身に纏った紅髪銀眼の少女。

少女の額に嵌まる透明な水晶と、背から延びる機械の翼が、彼女が人ではないことを示していた。

周りの床に書かれた膨大な古代神霊者文字オールドディア・テキスト神言詩うたは、太古のとある伝承を暗示している内容。

そして、覇神の再誕者を狙う、恐ろしい闇の刺客の存在を示していた。



黒の学院が長期休業に入ったので、竜神レイヤは覇神について調べに行くことにする。最上級生であるレイヤはある程度の課題ができればあとは自由に行動できる。

「学院図書館にあった始典オリジンだけでもかなりの情報だったが…あれは所々重要そうな記述が欠けてたからなあ…」

覇神は、【聖炎】、【凍水】、【樹風】、【閃光】、【宵闇】、【虹晶】の6属性があり、それに対応した神殿も6つ実際にあるらしい。

「俺がいつもやらかした後には物凄い焼け焦げたような様になってるから…聖炎か閃光のどっちかしかないわけだが」

閃光には、光属性というほかにも、雷属性という意味がある。

あと、凍水は、水属性と氷属性の複合である。

しばらく歩いていると、向こうの方がなんだか騒がしくなってきている。

「……何事?まさか……なのか?いや…?」

群がっている野次馬を押しのけていくと、その先には、濃い紫の髪と金の瞳を持つ少年が1人で、奥に陣取る巨大な魔物バケモノを相手取っていた。

「あの髪と眼…ってことは、あいつが双龍月ハクか。助けは……要らないか」

レイヤの予想した通り、双龍月ハクはたった1人で魔物を撃滅してしまった。

そしてハクが何かを感じたのか、こちらに勢いよく振り向く。


      「おい……なんで【聖炎】がここにいるんだよ?」




                             END




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幻想覇神記=6天神の再誕者 ファランドール @wgbsh3ksc1zy

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ