86「つまらなくないじゃないか」

「退屈だ」


 カクロに会った二日後、つまり、バンザッタへと到着してから四日目、ついにヨムギがその言葉を発した。不満という研ぎ石で鋭利さを増した彼女の口調は僕を黙らせる。


「おい、ニー……ル。この街はなにもやることがないぞ。戦いも起きなければ、仕事もない。どうしてくれる」

「どうしてくれるって」僕はベッドに座ったまま、ドアの前で腕を組むヨムギに眉を上げる。「戦いが起きないのはいいことだし、仕事がないのはきみが探しに行かないからだ。大体、昨日も軍の訓練に参加してたし、やることはあるじゃないか」

「それとこれとは話が別だ」

「嘘だろ、どう考えれば別になるのさ」

 ヨムギは僕の疑問に取り合おうともしない。「お前はずっと部屋から出ないし、これじゃどこにも行けない。黴が生えるぞ」


 一人で出歩いてみればいいのに、と思ったが、口にはしなかった。彼女には金も土地勘もない。その両方を持つ僕が隣にいるのに、活用しないのは確かに馬鹿らしい。


「おい、ニール、案内しろ」


 もしかしたら、気を使われているのかもしれない。

 別段暗い気持ちになっているわけではなかったが、日がな一日宿舎に閉じこもっている僕の姿がヨムギには塞ぎ込んでいるように見えた可能性もある。快活な彼女にとって、じっとしていることは不健康そのものだ。

 溜息を吐き、頭を掻く。窓の外に目をやる。

 朝と昼の境目、東南から注ぐ日差しは強い。


「……分かったよ」

「お」

「きみの言うとおり、黴が生える前に動くとしよう」


 バンザッタでの滞在期間がどれくらいになるか分からない。その間、知人と会うのを避けてびくびく過ごしているのは精神衛生を通り越して健康に悪いだろう。

 カクロの言葉もある。ウラグとイルマに会いに行こう。外に出れば、ヨムギも少しは大人しくなるはずだ。


    〇


「こうして歩いてみるとこの街は本当に丸いな」


 城の外周を通り、商業地区へと向かっている途中、彼女はそんなことを言った。確かに外から見るよりも中心から見た方が実感しやすい。

 掘を左手に、反時計回りに僕たちは北を目指している。横に広がっている東部農業地帯は綺麗な扇形をしていた。一面に緑があり、その奥には石の壁がある。黄土色の農道がくっきりと浮かび上がるように走っていた。


「のんびりしたところだ」

「戦争がないとどこもこんなものじゃないかな」

「でもレカルタはいつでもごちゃごちゃしてるぞ。アノゴヨもうるさかった」

「あそこが特別なだけだよ」


 ヨムギが平和な都市に行くことはまずない。だから人がいながらも穏やかな風景を見るのはあまり経験がないのだろう、物珍しそうに牧歌的な風景に目をやっていた。

 名案、と考えたわけではないけれど、僕は提案してみる。


「農業でも手伝ってみる? 退屈ではないと思うよ」

「畑仕事か」彼女はぽつりと呟いて広がる畑を眺める。「なあ、レ……ニール、ここ全部畑なのか?」

「……ああ、大体ね。有事の補給線も兼ねてるんだ」

「これだけの畑を何とかしようとしたら日が暮れるどころじゃないぞ」

「耕すのは魔法でもできるけど収穫は時間がかかるだろうね。普段の世話もそうだけど……ヨムギもやってみる?」

「却下だ。こんなのいくら人がいても埒があかない」


 それをするのが農夫なんだけど、と指摘しようとして、やめる。彼女が意見を覆すとも思えなかったため、苦笑に変えて身体から吐き出した。


「で、お前はどこに連れて行くつもりなんだ?」

「商業地区までは案内するけど……僕はお世話になった人に挨拶しに行くから、あとは勝手にすればいい」

「なんだ、案内してくれないのか?」

「時間、かかっちゃうだろうからね。ついでだし、最初は職業斡旋所まで一緒に行こう」

「その挨拶におれがいたら迷惑なのか?」


 なんだろう。

 僕は彼女の口調におかしさを感じる。ラ・ウォルホル、いや、アノゴヨまでは彼女はこんな顔を僕に向けてこなかったのに。目付と言って僕の動向を見張っていたとき、だとか、戦果を競おうと提案してきたときは彼女の瞳にあったのは純粋な対抗心だけだった。

 しかし、今のヨムギの目には頭領や他の仲間たちへと向けるような光があった。ディータのときと同じように、姉として振る舞っているようでもある。


「……別に迷惑ではないけど、つまらないと思うよ」

「なら、行くか」

「え」

「どうせつまらないのは同じだ。だったら、お前の隠し事を聞いて、それからお前に楽しいところを案内してもらった方がいいだろ」

「隠し事って」


 一匙の反論をしたものの、彼女の意見にも一理ある。その上で僕にたかれば一石三鳥だ。彼女の完璧な計画に僕は両手を挙げ、了承した。職業斡旋所はともかく、イルマの料理店に行けば彼女は驚くだろう。どこの街にもあそこ以上の店はなかった。

 そこまで思い出したところで、まずい、と危機感が翻る。

 イルマの店はマナーをマナーではなく、当然の作法として実践している女性の客が多い。そこにヨムギを連れて行って食事をしたら視線が石つぶてのように飛んでくるはずだ。

 どこか、食材を保管してある倉庫とかで食べるわけにはいかないだろうか。

 無理だろうとは薄々思いながら、懇願の台詞を考えているとヨムギが肩を叩いてきた。


「おい」

「今度はなに?」

「あれはなにをしてるんだ」


 彼女が指さした先で子どもたちの集団がはしゃぎ声を上げていた。二人が堀の柵を引っこ抜き、その他はめいめいばらばらに準備運動をしている。向かい側には衛兵が立っていたが、それを注意するような素振りは全くない。呑気に欠伸をしているほどだ。


「あれは、『水渡り』、かな」

「水渡り?」

「秋の収穫祭で堀に飛び込む催しがあるんだよ。どれだけ遠くまで飛べるか、っていう。それの練習かも。気が早いけど、まあ暑いからね」


 子どもたちは歓声を上げながら、誰から飛び込むか口論に近い議論をしている。僕は嫌な予感を覚え、〈腕〉を展開した。その予感は的中する。挑戦しようと走り出したヨムギをすぐに捕まえた。

 傭兵然とした格好のうえに、ずぶ濡れでは紹介もままならない。


     〇


 二階の所長室の前で職員と話していたウラグが「ニール!」と叫んだ。

 職業斡旋所の中にある空気が止まる。僕がいた頃から働いている人たちもいて、彼らも口々に僕の名前を呼んだ。職を求めて列をなしていた人々も視線をこちらへと向けていた。

 ウラグは自分の足に躓き、転びそうになる。彼を呼びに行っていた併設食堂のウェイトレスは緊急のことがあると盆を持って行く癖があるのか、手にしていた盆で見ていられない、という具合に顔を隠した。ウラグは何とか体勢を立て直し、階段の手摺りに手をかける。駆け下りてくる、というより転げ落ちてくる、という表現がぴったりとくるような猛烈な速度だった。


「ニール、お前!」


 僕の元まで辿りつくと、彼驚きと嬉しさを半々にしたような笑みを浮かべた後、抱きつこうとして止まった。その視線はだらりと垂れた右袖に伸びている。驚きと嬉しさの中に一滴の悲しさが垂らされたが、結局、ウラグは僕に抱きついた。


「……暑いですよ、ウラグさん」

「夏だもんな、夏だもんなあ……」


 肩に湿り気を、耳元で嗚咽を感じた。

 もう五十にもなる男が咽び泣いている。そこまで来るともう斡旋所の中はちょっとした騒ぎになっていて、顔も知らぬ夫人たちがもらい泣きしているほどだった。

 こうなるとは予想していなかった。

 僕は申し訳なさと羞恥を覚え、何とかウラグを引き剥がそうとしたが、亡びた国から海を渡ってきたその膂力は衰えておらず、片手ではできそうもない。


 ――ウラグはフェンとともに初めて出会ったこの世界の人間だ。アノゴヨの森の西端、そこに投げ出された僕は草原を彷徨っていた。そこを彼とフェンに拾われたのだ。

 バンザッタまでの道中で、僕にこの国の言葉を教えようと躍起になっていた彼の姿を思い出す。懐かしい記憶が甦り、同時にその思い出は彼にとっても大きな出来事だったのかもしれない、とも思った。

 僕がカンパルツォの護衛となったのは彼のおかげでもある。ウラグは時間があるときはこの世界の常識や法、それ以外にも様々なことを教えてくれた。彼と過ごしたのはほんの数ヶ月にすぎない。けれどその短い期間は彼をこれほど喜ばせる濃密さがあったようだ。


「ウラグさん」と僕は抱きしめられたまま、何とか声に出す。「ご心配おかけしました」

「まったくだ!」


 そこでウラグはようやく顔を離し、だが、僕の両肩に手を置いたまま、叫んだ。涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃになっている。


「……とりあえず、上に行きませんか? みんな見てます」


 ウラグは洟を啜りながら周囲に視線を巡らせる。誰に言ったのか、「お前ら、仕事をしろ!」と彼が怒鳴ると、斡旋所に来ていた市民が「それを探しに来てるんだよ!」と野次を飛ばした。


 列に並んでいる一人が噴き出したことで爆笑の渦が起きる。

 僕は逃げるようにウラグを連れて階段を昇ろうとして、そのとき違和感を覚えて振り返った。背後にいるヨムギが笑いを堪えながらこちらに目を向けている。


「何もつまらなくないじゃないか」


 何だか恥ずかしくなり、僕は急いで二階へと進んだ。

 所長室の、大人が三人も寝転べるほどのローテーブルの足には懐かしい傷があった。僕がウェンビアノと初めて出会ったときにつけた傷だ。

 誰も頼れない世界では自分の有用性を示さなければ生きていくことはできない。そう考えた僕は自分の力を証明するためにこの机を投げ飛ばした。

 壁に空いた穴は僕が王都への旅を始める前に修復されていたが、樫木で作られた机はずっとこのまま使っているようだ。経年劣化というべきか、味が出たというべきか、色味が濃くなっているような気がした。


 ウラグはウェンビアノやフェンから手紙で近況を知らされていたらしく、僕が彼らの元から離れたことを知っていた。とはいえ、ウェンビアノは日々の仕事で忙しく、フェンは筆無精で、それほど詳細を把握しているわけではないそうだ。だから、僕はヨムギを紹介した後、キーンのときよりもずっと詳しい説明をした。

 ヨムギにとっては一度聞いた話ではあったが、人が違えばする質問も変わる。顔に退屈の色はなかった。

 カンパルツォの元を離れた説明はとてもしにくいものだった。「こういう理由で僕は逃げ出しました」と改めて口にするのは胸が締めつけられる。だが、それを説明しなければ始まらない。僕はあの森の中で何があったのか、詳細に語った。


 泣ける要素などないはずだったが、ウラグは僕が山脈を越えたところで再び涙を流し始め、傭兵となったところで嗚咽を漏らし、ラ・ウォルホルで隊の先頭に立ったところでもう聞いていられないという具合に顔を俯けた。

 話を終えると同時にウラグは机に身を乗り出し、ヨムギへと両手を伸ばした。ヨムギは恰幅のいい異国の中年男性が迫ってきたことでびくりと身体を震わせたが、握手を求めていると気付くとおずおずと手を差し出す。ウラグはその手を掴み、ぶんぶんと振った。


「ありがとうな、ありがとうな、ヨムギちゃん」


 ヨムギは何に対して礼を言われたのか理解できなかったに違いない。普段の彼女では考えられないほどのたじろぎ方をしていた。

 僕が話を終えてもウラグの感情の揺らぎは止まらなかった。水の魔法を使っているのでは、と疑いたくなるほど涙を流し続けている。彼は何か伝えたいことがあるのか、口をもごもごとさせていたが、彼自身の泣き声にかき消され、こちらへ伝わることはなかった。

 僕とヨムギは顔を見合わせ、頷き合う。言葉を交わさずとも意志の疎通が出来ていたようで、同時に立ち上がり、ウラグに別れを告げた。


「じゃあ、ウラグさん、僕たちはこの辺で帰りますね」

「次は仕事をもらいに来るから、それまでに泣き止んでいてくれ」


 ウラグは首を縦に振ることで何とか了解の意志を示した。ヨムギはその様に噴き出しそうになり、手で口を押さえる。だらりと下がった僕の袖を引っ張ってもう耐えられないというような表情をした。

 僕は〈腕〉を伸ばして扉を開ける。駆け込むようにヨムギが外に出て、僕も後を追おうとして、一度立ち止まる。


「あの、ウラグさん、イルマはこの話を知っていますか?」


 彼は顔を覆ったまま、ぶんぶんと首を横に振る。「言えなかった」というような言葉が聞こえたが、くぐもっている上に咽びに途切れてすぐには理解できなかった。その声は部屋の外にまで聞こえていたらしく、ヨムギが高笑いを始めるのが聞こえた。


     〇


「なんだ、あいつ、終始泣いてたな。この街の水路はあいつの涙でできているんじゃないか?」


 僕とヨムギは商業地区の中央通りを並んで歩く。僕は呆れながら、彼女は腹を抱えながら、だ。


「きみは笑いすぎだよ。途中で笑い始めるんじゃないか、って冷や冷やしてた」

「我慢してたろうが。キーンのときは神妙な雰囲気だったから今回もそうなると思ってたのに……お前は人に会うとき濡れるのはどうだ、って言ってたが、いちばん濡れてたのはあの太った男だったな」


 僕は噴き出すのをぐっと堪える。しゃくり上げながら相槌を打ち、滂沱たる涙を流すウラグの様子は真面目に話している僕ですらふざけているのではないかと思ったくらいだ。ときおり混ざる素っ頓狂な高音を思い出すと自然と口角が上がった。

 ヨムギはそれを見咎めると、泣き真似を始める。誇張された物真似はあまりにくだらなくて僕も堪えきれなくなった。


「あー……久しぶりだな、こんなに笑ったのは」

「おれもだ。いいものを見れた。次もこれくらい面白いのか?」

「さすがにその期待はしないでくれ」


 イルマは僕の話を知らないらしい。まあ、そうだろう。彼女とウェンビアノの繋がりはあまりないし、わざわざフェンが知らせるとも思えない。「色々あったんだ」と暗い表情を作れば深く突っ込んでくることはないはずだ。彼女は人の内面に踏み込んでくるタイプの人間ではあるが、土足では上がり込んでこない。ノックをしてくれる優しい分別を持った女性だ。

 もちろん、今の僕にそんな表情を作れるのか、という問題はあるが、それは努力するしかない。


 昼前の大通りは市民たちが闊歩している。

 女の傭兵というだけでも珍しいのに、ヨムギの顔立ちは幼さが残っているため、人目を引いていた。ましてや、隣を歩いているのは金髪隻腕の僕だ。多くの人々は声に出さないまでも「見ている」と認識できるだけの時間、視線を注いできていた。

 多くの、ということは、声に出す人もいる、ということだ。

 城に居を移す前はこの近辺で使いっ走りをしていたため、僕を覚えている市民もちらほらといて、彼らはいちように「久しぶりだなニール、隣の子は誰なんだ」と声をかけてきた。中には僕の趣味でヨムギが傭兵の出で立ちをさせられていると考える者もいて、彼らは「娼館に行くときは大荷物だな」と目尻を下げた。

 ヨムギは僕の顔をじろじろと見ながら首を傾げる。


「なんだ、お前、案外顔見知りが多いんだな。根暗なやつだと思ってたのに」

「怖い目付がいたからね」


 ヨムギの反論を聞き流し、突き当たり、城を囲う堀を左に曲がる。堀の外周も中央通りに負けず劣らず人が多い。収穫祭での立地がいいため、この辺りは料理店がひしめき合っているのだ。もうすぐ昼食時、ということで呼び込みをする声だとか、どこで食べるのがもっとも満足度が高いかで議論している声だとかが響き始めていた。

 イルマが働いている店はこの一画に位置している。彼女の店は女性からの人気が強かったから、立ち退いていることはないだろう。少し歩くと予想通り、何度も見た看板が目に入った。


「あれだ、あの店に知り合いがいる」

「お前、知り合いに飯屋がいるのか」

「飯屋って言うと怒られる気がする」

「じゃあ、なんて言えばいいんだ?」

「なんだろう、もっと丁寧に、かな」

「お飯屋?」

「……僕が悪かった」


 店の扉を開けるとからん、と鐘の音が鳴った。席はほとんど埋まっていて、その多くがやはり女性客だ。彼女たちは僕たちの格好を目にすると静かなひとときを邪魔されると判断したのか、揃って渋い顔をした。

 快活そうなウェイトレスは慣れた調子で人数を尋ねてくる。僕の反応から彼女が僕の知り合いではないことをヨムギも気付いたようだ。


「すみません、知り合いに会いに来たんですが……イルマはいますか?」


 休んでいるのか、とも思ったが、この店を経営しているのは彼女の夫だ。厨房にも彼がいる。別れてしまったのか、それとも食材を買いに行っているのか、と考えたところでイルマの夫が僕に気がついた。

 彼は厨房の奥、居住部分になっている方へ顔を向けてイルマを呼んだ。僕が来ている、と伝えたところで何かが転がる音が響く。


「ちょっ、ニールがなんで?」


 その声とともに彼女は何か荷物を抱えたまま厨房から顔を覗かせた。

 少し太っただろうか。以前よりも肉付きが良くなっている気がした。彼女は僕の顔を見た瞬間、歓声を上げ、そこではっとして食事をしている客に頭を下げる。慌てているのか、荷物も下ろさずに厨房から出てきて、そして、今度は僕が驚いた。


「イルマ」


 それ以上の言葉が出てこない。

 彼女が両手で抱えていたのは荷物などではなかった。白い布に包まれた小さな赤子が眠っている。イルマの大声でいちばん驚いたのはその子だったのか、ぐずるように眉間に皺を寄せていた。イルマは腕を軽く揺らし、小さな声であやし始める。


「イルマ、その子は」

「ああ、うん、あたしの子ども」

「それは」そうか、僕が最後にイルマに会ってからそれだけの月日が経過しているのか。「おめでとう」

「もう半年も前だけどね。とりあえずここで立ち話してもなんだから、上がりなよ。その娘は連れの子? あ、紹介も中でしてもらおう」


 イルマは「おいで」と言って厨房の中へと帰って行く。この格好で口に入れる物を扱う場所に入るのも躊躇われたが、「どうしたのさ」と声をかけられたため、気にしないことにした。


「ヨムギ、とりあえず食事は後回しだ」

「ああ、それはいいんだが」いい、と言う割りには彼女はテーブルに載せられた料理を物珍しそうに凝視している。「お前の知り合いはみんな肌が焼けてるな」


 そんなことはない。その証拠にキーンとカクロの肌は白かった。二対二だ、みんなではない。

 まあ、その反論は口の中で抑えておくことにする。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る