第2話
「赤い月夜の晩には、出歩いてはならない。人ならずものに惑わされてしまう。」
昔々、そんな話を祖母に聞かされ育ったことをぼんやりと思い出しながら僕は、片手に提燈を持ちながら、薄暗い夜道を歩いていた。
ただ時折、蛙の鳴き声が聞こえながら、僕はふと、空を見上げた。
僕の目には毒々しい赤い月が目に映った。其の時風が吹いてきて
僕の手に持っていた。提燈のロウソクの灯が消えた。
僕は視線を右側に向けると石段があり、僕は躊躇いなく段を一段一段上っていった。
上に着くと僕の足元は液体を踏んでいたようで、ツルッと尻餅をついた。
僕は顔を見上げてちょうど正面に、銀髪碧眼の少女がいた。
少女の片手には刀が握られており。赤く塗れていて、横には人間が転がっていた。
少女は僕に気がついて目が合った。
とたんに、風が吹いてきた。僕は目に塵が入らないように腕で庇った。
風が止み、目を開いたら・・・
・・・誰もいない。
月が雲で隠れ始めたら、提灯に再び灯がついた。
提灯の灯りで足下を照らしたが、ぬれてないが赤い桜の花びらが落ちていた。
酒の飲み過ぎによる為の、夢か幻か
又は、狸か狐に化かされたのだろうか?
毎日同じ道を通っているが、神社があること自体初めてみた事だ。
でも、確かに少女はいたのだ。風が吹いてきた時に確かに声は聞こえた。
風の音で聞き取ることは出来なかったが、凛とした声が聞こえた。
この出来事が、僕の運命を大きく変えていくとは、まだ誰も知らない。
果たして悲劇なのかは、当人同士にしかわからないことなのだ
翌日、僕は昨夜の事を友であり、自分の良き理解者である秋月に話した。
「それで、香澄は昨夜見た娘が、何者なのか知りたい訳だな。
お前昨日の飲みすぎて、大方狸か狐に化かされたか、幽霊でも見たんじゃないか?」
「やっぱり、そう思うか・・・」僕はうつむいた。
秋月は僕の頭をポンポンと叩きながら、
「香澄ちゃん、そんな不安な顔するな。おにいさんが、今夜にでも一緒にその娘探しに、
例の神社に一緒に行ってあげるからな。」と準備を始めてしまっている。
「な、ひとつしか違わないのにガキ扱いするなよ。」僕は思わず秋月の手をはじいた。
あ、やばい・・・と思ったとき、
ぎゅっと、秋月に抱きしめられていた。
「おまえは、まだ危なっかしいガキだよ。」
僕は秋月のその言葉を聴いたとき、
・・・無償に切なかった。
まだ、自分を心配してくれる人がいる。
「なんで、そうなるんだよ。それに気になるなら、
僕が一人で行けば済む事だから、っていうか、秋月お前面白がってないか?」
「なに、当たり前なこと言ってるんだ。
香澄が他人にしかも、女の子かも知れないのに興味を持ったなら、
会いに行くしかないだろう。」そんな風に、言われて断れなくなり、その神社に行く途中。
僕は・・・・
なぜ、その少女に
・・・人であることを前提にして
もう一度逢いたいと思ったのかは?
たぶん・・・自分でもよく理解っていないのだろう。
ただ、もう一度彼女と会って話がしたい。
彼女にあってなにを話すと言うのか
僕は、そればかりを着くまでずっと考えていた。
着いても、秋月に言われるまで気がつかないほどに・・・・
「香澄・・・香澄、香澄ちゃん、もしもし聞いているか。
例の少女って、あの子か?」と秋月の指の指した先には、彼女がいた。
彼女を見た瞬間。
僕と彼女の目が合った。彼女は口を開き、
「なぜ、また此処に来たのですか」と質問された。
「なぜって、僕は君に、逢いたいと思った。それじゃだめなのかな。」
僕は自分の素直な気持ちを、彼女に言わなきゃいけない気がしていた。
変だよね、ついさっきまでは、会って何を言うかを
散々、考えていた迷いがまるで嘘のようだった。
「わたしの名は、澪。あなたは、」
「僕は、香澄。こっちは友人の秋月。
澪さん、君は此処に、一人で居るなら、僕と一緒に来ないか。
もしも、君がよければなんだけど。」
僕は自分でもなにを、いっているのか分からなくなってしまったが、
「香澄あなた、わたしが怖くないの」と澪からの返事は、ただそれ一言だけだった。
僕はこの時、答えることができなかった。
彼女がこの時言った意味を僕は後から知り後悔するのだった。
朧月夜 早瀬慎 @dorothy
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