第10話  繋がり

 ふと空を見上げ、智絵は思った。

今日は何かが起こりそうだと・・・・。

「わっ、智絵何をしている。」

 朝の目覚めを迎えて、寝ぼけた頭を抱えるように髪を持ち上げた唯は、眠気など何所かに行ってしまうほどの悲鳴を上げ、目を瞬かせる。

「何って添い寝」

 語尾に意味ありげにマークをつけてウィンクをする智絵。不器用なウィンクが可愛らしい。

「って、そんなこと考えている場合じゃない。」

「何考えているの? 」

「なんでもない、時間は・・・・・」

枕元の時計に目を落とす。目を瞬かせ―ベッドから飛び出す。

「智絵急がないと遅刻だよ」

 布団をめくると智絵は制服姿だった。

あらかじめ準備していたのだろう、髪も整っている。比べて唯はぐちゃぐちゃで今まさにブラウスを羽織ったところだ。

「ちょっと智絵、アンタどうして起こさないのよ。添い寝なんてしている場合か」

「だって、ぐっすり寝ていたのだもの。それにかわいかったし」

 頬を染めながら智絵は恥じらいを含めた表情でいう。

 一方、さりげないかわいいという言葉に唯は無表情だ。

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妹を選んじゃいけませんか? @Yuri_0956

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