自分を救ってくれた王子の為にと頑張るフィオの健気さが、ぐっと来ます。奴隷という人間以下の存在であった自分に、名前を与えてくれて、食べるものを与えてくれて、居心地のいい場所を与えてくれて……フィオの世界=王子といっても過言ではない状態での、リセット。それは、彼女の世界もリセットされてしまうということ。与えられた愛情も、楽しかった思い出も、一年で消えてしまう。二人の間に、時間は積み重ねられていかない。……せ、せつないです(涙)
見かねて差し伸べた自分の手によって、空っぽだった少女が、水をもらった花のように、生き生きとそして美しく成長していく。その生命力に触れたとき、生きることをどこか諦めていた王子の心に、運命に抗いたいという気持ちが芽生える。「この子のことを忘れたくない」と思う。
自分が生きていくために大切なもの、それに気づいても、忘れてしまう。でも、気付いたことで「何か」が変わり始める……毎回繰り返される「初めまして」でも、(本人は覚えていないけど)前とは少し違う。「忘れたくない」理由も、少しずつ変化していく。そんな感じに、読んでる方はそわそわします。
「忘れたくない」と「忘れられたくない」。その二つの気持ちのせめぎ合いが、もう、何というかせつなさMAXで、読んでて共感しまくりで、疲れました(苦笑)果たして呪いは解けるのか……続きが待ち遠しいです。
【読了しました】
あ~楽しみにしてたのに、終わっちゃった~(溜息)という気分です。魔女の呪いの動機がまた、切なくて泣かせます。そして今、ふわふわとした夢心地な気分に絶賛浸り中です(笑)恋っていいな~と思わせる、素敵なお話をありがとうございました。
(2016.06.08追記)