第1話 俺(実はまだプロローグなんて言えないっ…!!)

 君が僕との会話を覚えているかどうかはわからないが、確実に言えることは今君は王城にいるということだ。よくある召喚ってやつだろうね。

 いきなりのことで困惑してるであろう君に近づいてくる少女は――っとその前にひとつ。この物語では人物の容姿については特に説明しない。君にも好みの容姿があるだろうし、何よりどんな人なのかを想像しながら読むのがこの物語の醍醐味だからね。という訳で少女というのも訂正、女性としよう。続けるよ。

 君に近づいてきた女性は「勇者様、ようこそお越しくださいました」なんて言ってきたね。

 君はこの女性に対して好感を覚えるかもしれないし、嫌悪感を覚えるかもしれない。僕にはそれはわからない。僕がすべてを支配できるこの世界での唯一のイレギュラー。それが君だ。

 君は何かを言おうとするが、言葉にできないでいるだろう。無理もない、いきなりこんなところに連れてこられたのに現状を理解しろっていう方が酷ってもんだ。

 王様はそんな君に対して「魔王を倒してくれ」と頼んできたね。

 王様が言ってきたのはこの国が魔王に攻められていること、古の伝承に従って勇者召喚の儀を行うと君が現れたこと、君は伝承の勇者であり魔王を倒す義務があることの三点だ。

 君はしぶしぶ魔王討伐の旨を了承するだろう。断るとどんな未来が待っているかもわからないからしかたあるまい。

 君がそのことを伝えると、王様は君を玉座の下に続いていた隠し通路を通って小さな部屋に連れていく。そこには床に一本の剣が刺さっていて、なにやら神聖な雰囲気がただよっているね。

 剣の名前とその剣の曰く「伝承の勇者の相棒であり勇者しか抜くことが出来ない剣」ということを教えてもらった君は柄を握って剣を抜いた。


 さて、プロローグはここまでだ。相棒を手に入れた君の物語はここからはじまるのである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

おまいらが主人公となって魔王を倒しに行く話 あおや なぎ @ng_ai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ