おまいらが主人公となって魔王を倒しに行く話

あおや なぎ

プロローグ

 やぁ。僕の世界へようこそ。

 いきなりで困惑するのも仕方ないが、僕が話しかけているのは君だよ君。と言ってもこの白に包まれた世界には今僕と君しかいないんだけどね。

 失敬。君にもよくわかるように状況を説明しよう。

 どこぞのバカはつねづね思っていたのさ、物語の主人公は読者が一番向いているのではないかとね。君だって想像したことがあるだろう? 本を片手に自分が剣を取り怪物たちと戦う姿を! あるいは美少女たちに囲まれる己の姿を!

 なぜあの子は彼の隣にいて、僕の隣にいないのだ。そんなことを思ったこともあったね。

 そこで、君を呼び出したというわけさ。

 君にはこれからとある世界へと旅立ってもらう。むろん拒否してもらっても構わない。その場合またはじめに戻るだけだからね。知っているかい? ただただ「いいえ」を押してセリフがループした時の時間を無駄にしたというなんとも言えない虚無感を。

 まぁいい。君は「はい」を押してくれるだろう。確信できる。なぜならこれは君が求めていたものだからね。

 それでは旅立ちの時だ、君の旅が良きものになるよう願うよ。それでは。



 ――これは作者ボクが綴る読者キミの物語だ。

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