所謂ラストティーンエイジャー

gomma隠居中

いわゆる

いつもなら30分かかる化粧をこの頃は5分10分で済ませている。

真夜中にはじまる電話では「遅刻する人が何故時間を守れないのか、なぜ改善されないのか理解出来ない」という話題が必ずと言っていいほど挙がるくらいに時間にシビアな男を好きになり、私の時間に対する意識はずいぶんと変わった。ような気がする。

今日も例のように5分ほどでぱぱっと、しかし比較的丁寧に化粧を済ませ、もう殆どボロボロになっている靴を履いて急ぎ気味に家を出た。別に走らなくても間に合うのだろうが、今日こそは待ち合わせに遅刻したくなかったのだ。

そう、18歳最後の日である今日こそは。


最寄りである東武線の駅まで片道15分。

決して近くはないが、バス通りに面した自宅から駅まで終わらない地平線・・・ではなく駅前にそびえ立つ2つのデパートに向かって早歩きで足を進める。


それから約30分。

急行で2駅先の駅を降り、乗り換えを済ませた私は地下鉄の中でぼんやりしていた。なぜそんな余裕があるのかといえば、いつもより早く家を出たことで時間に対する精神的余裕があることと、私が想い人と待ち合わせをしているのは原宿で、地下鉄の明治神宮駅の出口から目の前にJRの駅があるゆえに乗り換えの必要がないからだ。

少し遅れるかもしれない、という旨のLINEが大手町あたりで来ていたが、私が明治神宮駅の改札を出る前に乗り越し精算を済ませ、最後の化粧直しにとトイレへ駆け込んだところで着信があり、もう着いたとのことだった。そのとき、集合時間の15分前だったのだが、私が早めに出たと知って彼も急いで向かってきてくれたのかもしれない。今回こそは私が早めに着いてやると意気込んでいたのに、ほんとうに気の抜けない男である。遅刻しなかった安堵感や嬉しさを感じる余裕もなく、ただ悔しさをかみしめる。そんな瞬間でさえ、いとおしい。

この瞬間、彼を好きになってよかった、と、私は改めて思ったのだった。

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