責の在処
この三角帆の舟の扱いに関しては、汐迅は誰かに負けることはないと思っている。
……ほつれた一筋の髪が額に張り付いていて、汗を拭いたいとは思ったが節ばった堅い己の掌をこの
今の若君の苦しみは、ふと己の妻子が港にいるためではないかと思った。
尚都で何が起こっているのかは分からないが、汐迅の妻子はそこに在るのだ。……関わっているとは思わない。尚都で起こっているなにがしかの異変を押し留めることなどできなかっただろう。
一年の大半を海で過ごし、尚都にあるのはわずかなこと、家のことは妻に任せきりで、幼い二人の子供たちにが顔さえ忘れられてしまう。女手ひとつで二人の幼子を抱えている、そんな妻に尚都の異変を
若君は、それを理解しているつもりでも、どちらかを選ばねばならぬような気がしているのだろう。そうでなければ、
苦しむ
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