第2話 始まりはいつも突然に


「だ〜い、一っ回ーーーっ! 転生者ぁ、能力決定選手権ーーーっ! 」


 ウオォォォオ!!

 歓声、爆発音、爆音、響く騒音、耳鳴り。


「意味わっかんね……」


 つぶやきは騒音に掻き消された。

 辺りを見回すと観客席の様な場所に固定された人の様な何かがいた。


「ヒッ……!」


 人型の顔は目のあった場所はポッカリと穴があき、口は縫い留められ、喉に直接穴を開けられ、笛のようになっていた。


「えぇ〜、まず大会を始める前に言わなければならない事があります。


  ご静粛に」


 静まる、と言うより視線が強制的に集められ、声を出せない状況にさせられているようだ。肌に服が張り付きとても気持ち悪い。


「はい、ありがとうございます。では今大会のルールの説明をさせていただきます。皆様の頭上にあるパネルにも表示されますが、聞いてください」


 先ほどまでどこにも無かったパネルが急に現れた。信じられないほど不気味だ。だから現状は信じられる。ありえないモノばかりだから。


「では、目的とルールを説明します。

 まず初めに、今大会の目的は異世界の活性化、並びに害の排除、そして主神様が望んだからです」


 ……主神……神様……か。宗教嫌い。絶対信じない。これ一人暮らしに必須知識。


「ルール壱、皆様は最大 5回まで死ぬ事ができます。ただし、死ぬと能力は弱くなりますのでご注意を」


 なるほど、つまり強くありたければ勝てと。わかりやすいね。


「ルール弐、これは壱の補足ですが……え、変更ですか? ……わかりました。

 失礼しました。ルール弐を変更します」


「ルール弐、今大会は主神様のお望みの為設けられた時間です。

 故に不正は即刻排除します。

 それでは皆様 5分間歩き回り、その後好きなリングに上がってください」


 閃光、耳鳴り。もしスタングレネードを受けたらこの様になるのだろうか、とどうでも良い事を考え、しばらくすると、若干白色が勝り見えないがゆっくりと視界が戻ってきた。

 目の前には門があった。写真で見た凱旋門の様な、ヨーロッパを思わせるその門の向こう側は底の知れない闇の様だった。


 門の装飾は剣、盾、杖、筆、何も無い。この 5つだった。


「何も無いの……気になるな」


「あ、やっぱか。俺は剣だな絶対カッコイイだろ」


「たっつぁんがそっちなら俺本行っきま〜すっ!」


 案外速く決まったな。たっつぁんは剣道を習っていたから、クッキーはなんとなくだろ。俺は好奇心、クッキーとほとんど同じだ。


「それでは一回戦開始ーー!」


 後ろからシャッターを閉じた様な音がし、退路は断たれた。

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異世界転生 〜生まれ変わればキメラコア〜 @secondlast

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