第63話 番外編 気苦労

その日オーストラリアからようやく帰国できた後、どっと疲労感が出て来た僕は風呂に入ることにした。


は~疲れたな......最後空港から帰ってくるとき、玲奈が家まで送って行くって言ったのを理由をつけて断ったのは、正解だったよなあ.....もし玲奈の家のリムジンで帰ったら、母さんや、ちひろと意気投合して、家に暫く泊まっていくなんて状況もあっかもね...いやいくら何でもそこまでは.....


一瞬背中が寒くなるのを感じる


「いや~ハハハ、また緊張して目の前がモノクロになりかけたよ、風呂でも入ってリフレッシュしよ~っと」



 浴槽に首まで浸かりこれまでの自分自身に起きたことを振り返って自問自答する。


 相手の考えをできるだけ尊重して相手に譲るはなさん、いまいち良く分らないところがあるけどピンチの時は頼りになる清水、いつも強気で意地を張ってるけど生徒会活動をそれとなく支えてくれる玲奈。みんな優しいな、僕は本当に恵まれてる感謝しなきゃな。


「でも……もう少し女の人と話すのなれないとなあ」



 それにしても......玲奈のシドニーにいるとき、言ったあの言葉の意味はどういう意味だろう...?

まっいいかあ......いい湯だな、眠くなってくるな、あああ~なんかもうどうでも良くなってきた。



カラカカラ……



「もう~ちょっとこうちゃんそこもう少しつめてよ、私がバスタブに入れないじゃない!」


「あっごめん、わりいわりい」


「もう少し女の子の事とか考えないと、はな先輩とか玲奈先輩とかに嫌われちゃうよ!」


「そうだな、ごめんな……」



 うん?何か変だ、ここは僕の部屋でもなければ、学校でもない。現在位置は風呂そして顔を上げる。


「あっあ~!」


 眼鏡を掛けてないから良く見えないけど目の前にいる奴はちひろ、そしてちひろがどんな格好なのかはわかる。



「久しぶりだね、こうちゃんとお風呂はいるの、小学校以来かな?」


「ああああああ!!」



「うるっさいな~何?あああしかいえないの?少しは成長したなとか、もうちょっと気のきく事いってくれても良いのに、相変わらずガサツだね~」


「お前!何考えてるんだよ!早く出ろよ」


「いやだよ!入ったばかりで風引いたらどうするの!」


 

―――という事で不満ながら先に風呂から退却せざろう得なかったが、まあいい。なぜなら僕にはとって置きのお楽しみがある。


「ふう~やっぱり風呂に入るとすっきりするな~さあ~てとお楽しみのアイスを食べるかな」


「あっこうちゃん、私も今出たんだ~今日は暑いよね」


ちひろは、バスタオル一枚の恰好で、なんだかキモかわいいキャラっぽい団扇で扇ぎながら、風呂から出てきた。


「うわっなんて格好してるんだよちひろ!ふっ服着ろよ!なんだよお前は、ほとんど裸じゃないかよ!」


「ええ~いいじゃん!暑いから着るのヤダ!」


「ダメだ、ダメだダメだダメだだめだ~~!今すぐ即日超高速執行!!服着ろ!」


「もう~何言ってるの?別にさっき裸なら見たから別に恥かしがる事ないでしょう~もう!分ったよ」


「はい!これで良い?小さい頃は一緒にお風呂とか平気で入ったじゃない、何をいまさら~」


「あのな、ちー、もう俺達は子供じゃないんだぞ!」


「へえ~って言うことは私も女の子として見てもらえてるんだ~」


「あっあのねえ」


「従姉妹同士って付き合ってもいいんだよ~」


「ばっ馬鹿!何をいってるんだよ、身内みたいなもんだろ」


 もうこんな時清水はなんて切り返すんだろう?まあ話の腰を折って、お茶を濁しまくってやるか。



「そう言えば、冷蔵庫に置いてあった俺のアイス無いんだけど?おまえまさか食べてないよな」


「えっ?そんなの当然食べるに決まってるじゃない、美味しかったご馳走様でした、テヘっ」


「ああああああああ!!!」



          嘘だろ……俺のピノが……




「折角風呂上りの楽しみにわざわざ買ってきてちょっと固いから少し柔らかくする為に冷蔵においてたのに、ピノが……ああ~この怒り!晴らさずべきものか~!」





「まあまあ~その代わりと言ってはなんですが、このアイスの実でもどうぞ~」





「えっアイスの実あるの?わ~いい」





「残念でした~中身は空!」





「こっこのをやろう~絶対許せん!!怒り炸裂!デコピンスロットル補充完了すました!攻撃開始!」





「ああ、デコピンやるつもりだな、ヤダよ~捕まるもんか~鬼さんこちらへへ~」






「待て!待て待て~ゆるさ~ん!」





「へへ~運動音痴のこうちゃんに捕まるかっての、あっ!」


 ドスン!



「あっ」


 ドサ!


 僕はちひろに折り重なるように倒れてしまった、僕って本当に運動神経ゼロだな~





うわ~こんな在り来たりの展開どうしよう……でもここまできたら後には引けないし、でっでもはな先輩とか玲奈先輩に抜け駆けしちゃうみたいで悪いかも、でもこうちゃんの気持ちを確かめるには絶好のタイミング!行ける!



「ハハハ、転んじまった、ちひろ ゴメンナ」

「えっ!何それ……」



「さあってと今日は父さんも出張でいないし母さんも爺ちゃんのところだし、夕めしでも作るか、うん?まだ怒ってるのか?」



「私が、こんなにいろいろ緊迫したしちゅえーしょんで色んなこと考えてたのに~~~この馬鹿野郎!!」



パンッ!



「もう!今度の休みは私の買い物に付き合うこと!そうじゃないと許さないから!私こうちゃんの部屋でゲームしてるからラーメンできたら呼んでよ!フン!」


「痛ってえ~何怒ってるんだあいつ」

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ネクラ男子なのにカオヨミで女子好感度がなぜか上がっていく件 ITSUMONO @melonguma

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