甘酸っぱい恋愛青春小説。
短編オムニバスといった感じで、この作品を形容するなら作風そのままに、とてもコンパクトで分かりやすくまとまっていました。
とは言っても、それぞれがそれぞれの青春ドラマを描き出し、そのどれもが共通して思わず微笑ましくなる内容になっています。
胸キュンというか、人によっては「こんな青春送りたかった……」と胸が苦しくなるかもしれません。私はなりました。
オススメレビューなんですが、ある意味警告文でもあります……!
個人的には演劇部編のオチが秀逸で好きなのですが、他の吹奏楽部も美術部編も、どれも好きです。つまり全部好きです。
3つだけと言わず、文化部は種類もあるので、番外編や続編といった形で読みたくなりました。
本当に、これは良い恋愛青春物語です。
作品紹介に「合法ロリ」と明記してあるので、レビューにも引用して大丈夫でしょう、多分。
演劇部編、楽しく読ませていただきました。
背が小さくて童顔で気が強くて跳ねっ返りで、でも必ずしも短所ではなく自分の武器になることも自覚していて…(低身長からの上目遣い覗き込み構図は卑怯です!)。
宝塚並みの男役に憧れていたヒロインは、しかし、あいにく、あろうことか、あにはからんや男役には到底選ばそうにないチビロリちゃんなので、挫折してしまいました。
そのうち、好きだったはずの演技も苦手になっちゃって、裏方(大道具)専門になってしまうなんて、もうこの時点で可愛い。何この可愛い生き物…なんて言うと蹴飛ばされるんだろうけど。あっ大丈夫です、どうぞ存分に蹴って下さい! 全力で足蹴にして下さい! はい、そこです、オゥフ! オゥフ!
だがしかし、捨てる神あれば拾う神あり。
小さくても頑張る彼女を、常に助け、支え、見守り続ける男子の影が1つ。
いい奴じゃないですか。言動にも嫌味がなく、さっぱり書き切れているのも好感触です。ヒロインちゃんにウザがられながらも徐々に心を開かせて行く手練手管、貴様実は恋愛のプロだろ! お前そこ代われ!
まだまだ二人の物語には続きがあるでしょうけど、他の文化部の物語も控えているようなので、そちらも楽しみにしたいです。
こういうオムニバスな短編集も良いですね。長くないのでスッパリと読み切れます。