第6話終焉

 ヒカルがハナにプロポーズした日、彼女は言った。

「私、専業主婦になりたい」

 今どき珍しい女だ、とヒカルは思った。だが、連日連夜、仕事に振り回されているヒカルには好都合だった。ハナが家事全般を引き受けてくれればヒカルは気がねなく仕事に集中できる。社会人3年目で、ヒカルは自分が仕事中毒であることに気づきつつあった。そんな時のハナの申し出はヒカルにとって願ったり叶ったりでもあった。

 ヒカルはツヨシのことを思い出した。自称「神さま」のツヨシがヒカルの願いをかなえてハナに会わせてくれたのかもしれない。ヒカルはツヨシに感謝した。なぜならヒカルにとってハナは申し分ない女だったからだ。

 ヒカルとハナの結婚生活が始まった。仕事もせず専業主婦に徹したハナはヒカルにとって良妻と言える。ハナは毎朝5時に起き、朝食後のヒカルを会社へ送り出す。そのあと、自宅の全室をくまなく掃除した。自ら掃除機をかけ、床やインテリアをぞうきんで拭いた。自動掃除機マシンもモッブクリーナーも使わなかった。全部を手作業で掃除した。それが終わると次は料理だ。食材購入は全て民間企業の宅配サービスを利用した。三食それぞれ手がこんでいて、特に豪勢なディナーはヒカルを喜ばせた。

 日用品の買い出しは全てヒカルの役目だ。ハナが風邪をひいた時などは病院へは行かず、自宅で安静にして治した。リビングで映画を観ることは唯一夫婦の楽しみである。最終的に子供はできなかった。

 結局ハナは、約30年後ガンで死ぬまで自宅から一歩も外に出なかった。

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神さまの超ニート Jack-indoorwolf @jun-diabolo-13

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