第21話

なぜだ、なぜゼリーなんだ。 私は「本日のシェフのオススメ」を食べるのが趣味なんだ。 いろいろな趣向を凝らした料理が出てくるのが楽しいのだ、それはそうだが、プリンに始まってムース、煮凝り、こんにゃく、おきゅうとと、プルプルしたものばかり出てくる。 そして、最後に出てきたのがゼリーだ。 私は何か、敗北感のようなものを抱えながら、そのゼリーを食べていた。 しかもそのゼリーがこれでもかと言わんばかりに大きい。 なぜだ、なぜゼリーなんだ。 食べ終わって、私はシェフを呼んだ。

「お気に召していただけましたでしょうか」満面の笑みで、シェフはそう言った。 何故か、その顔を見た瞬間に文句を言う気が失せてしまった。

「ありがとう、いい料理だったよ」そう言うと、私は背中の殻に帽子を引っ掛け、ヌメヌメと這いずりながら店を後にした。

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ゼリー。 菅江真弓 @Keitonodice

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