アンテナを伸ばして初動を支えよう

 体育の日、ということで3連休という方も多いのではないでしょうか。こんにちは。

 私ですか? カレンダー通りにはなかなか休めないものですね。


 

 さていつだったかツイッター上で「本を買ってくれるのなら作家さんにとっても出版社さんにとっても発売から早ければ早いほど嬉しい」という趣旨の内容がリツイートで回ってきました。


 出版されてから最初の、いわゆる初動の売り上げがよければよいほど重版がかかりやすいため、1週間が勝負だというような内容もあったように記憶しています。


 私は書店勤めの経験こそあれど出版社さんの内部事情など何一つ存じ上げません。なので発売からどの程度で、何部売り上げれば重版の判断がなされるのか、というラインについて、ここで曖昧な憶測で語ることすら避けるべきでしょう。

 

 ですが、私の主観で恐縮ですが、新刊ってどの程度の期間動くものなのか、ということについては語ることができるかと思います。


 そこで今回は、新刊のマンガやライトノベルは、実際発売してからどのくらい動いてくれるのか?ということについて、中小規模の書店限定の話ではありますが、少し触れることといたしましょう。 



 ある作家さんのファンで、ずっとその方の作品を集めているというような方は、発売日に買いに来てくださるような、アンテナを高く張ったお客様が多いです。


 考えてみれば当然の話ではありますが、新刊というのはほとんどの場合、発売日が売り上げのピークとなります。発売日から翌日まではだいたい同じようなペースで売れてくれますが、それ以降は多くの作品でやや動きが鈍くなっていくように感じました。


 発売日からしばらく経っても一定以上売れるというのは、もうよほどの人気作です。ライトノベルでいうなら、『SAO』や『魔法科』etc……それらはもう例外中の例外。

 小説やマンガのような娯楽作品は特に、発売直後のファンの購買力――初動でほとんど決まります。発売後しばらく経って話題になり大きく売上を伸ばす、というケースもあるにはありますが、そういった幸運な作品はごく一部であることでしょう。



 それもそのはず。勢いが衰えたと言っても、出版物の多さで日本はいまだに世界上位クラス。中でもマンガは出版点数も冊数も多い。毎日のように新刊がなだれ込んでくるのです。


 書店員の方々は新刊を目立つコーナーに出すためにそれまで並んでいた本を別のところに移動させてスペースを開ける、という作業を毎日のようにこなしていることでしょう。


 今日出たばかりの新刊だけど次の日のものを出すために、一等地のスペースからより隅の方へ移動、表紙見せを諦めて平積みと平積みの間に挟んで立てたり、最悪棚差しにしなければならない、なんてこともしばしばです。


 大きい店なら1ヶ月間フルに一等地で平積み展開できるかもしれませんが、中小規模の書店ですと、残念ながら新刊の入荷ごとに頻繁に入れ替えていかなければならない。

 そうなりますとよほどの人気作であるか、話題になっていない限り、発売直後と比較して売れ行きは見込めなくなってしまいます。


 物理的に置くスペースが限られている以上こういった問題はどうしてもつきまといます。発売後すぐが勝負、というのもこのような面から見てあながち間違ってはいないといえるのではないでしょうか。



 もしあなたが気になっている作品があった時、打ち切りにならず、重版を達成して連載を続けられるようファンとしてはなるべく早く買ってあげたいところなんですが、人間時には忘れますし、さまざまな都合で発売日に買うことができない場合だってあります。


 ファンは発売したらその日のうちに絶対買わなきゃならない、みたいなことを強要することはできませんし、またそうでなきゃファンでない、という風潮は作ってはならないでしょう。


 ですけれど、作者さんにとっても出版社さんにとっても、商機は逃したくありませんから、売れるという判断をなるべく早くしたいでしょう。実際問題初動がよければよいほどありがたいというのはまた事実としてあることと思います。


 

 そこで、私たちいちファンとしてできることといえば――こまめな情報チェック。

 本当にこれに尽きると思います。

 

 かなり前のうちから出版情報がわかっていれば事前に「来月はこれを買うから○○円はとっておこう」といったお金も準備しやすいですし、以前こちらのエッセイで触れたような事前予約もしやすいですから。


 

 私は非書店員時代から『太洋社』さんのWEBサイトで出版予定をチェックしていたのですが、残念ながら今はないので、コミックのチェックは『ほんのひきだし』さんの更新してくださるコミック発売予定表(来月までの全出版社の発売予定がわかる)と、『コミックナタリー』さんなどでチェックしています。


 ライトノベルについては『ラノベの杜』さんがおそらく有名なのではないでしょうか。こちらの出版予定リストは書店員としてもお世話になったものです。

 ラノベ情報サイトとしては『ラノベニュースオンライン』さんをご存じの方も多いかもしれませんね。



 そして、こういったときこそツイッターですよ奥さん。

 お気に入りの作者さんをフォローしておきましょう。おそらく発売の前後に必ず宣伝をつぶやくはずです。それを見逃さずに。


 かくいう私も昨日ずっと好きだった作者さんをたまたまツイッターで見つけて、その方のツイートで数年ぶりの新刊が出ていたことを知った、なんてこともあったものですから。SNS、使い倒さねば損ですよ。


 作者さんの宣伝をいいねしておくとあとで見返すこともできますし作者さんも喜びます。ただしリツイートしての拡散はあまりやりすぎると逆効果なので注意です。


 また、出版社さんは通常レーベルごとにアカウントを持っているので、自分がよく買うレーベルさんをフォローしておくと、万が一の見落としも防ぎやすくなります。


 

 また多くの書店では、売り場のどこかの壁に、謎の色付きの巨大な紙が張ってあるのを皆様ご覧頂いたことがありますでしょうか。


 見たことないよ、という方、お近くの書店の壁を見回してみてください。ほとんどの書店さんがどこかに掲示しているはずです。


 実はそれ、取次さんがその月に発売するコミック、文庫を全部書き連ねた巨大ポスターサイズのリストを毎月各書店に配布してくださっているものなのです。

 文字が小さく見づらいのが難点ですが、そのポスター大のリストを眺めてチェックするというのも手です。


 

 また、私自身もやっていたのですが、書店さんが独自にリストを作って配布したり、目立つところにめぼしいタイトルの発売日をでかでかと書いた紙を貼り付けたりしていることがあります。

 それに目を通しておくと、意外と「え? これもう出てるの!?」という発見があったりするものです。書店めぐりがてら、そういったところにも着目してもいいのではないでしょうか。

 

 あなたにとても好きな作者さんがいらっしゃり、その作者さんの本が欲しい! という場合、まずはその作者さんの刊行予定を確認しつつ、無理のない範囲で、応援していきたいですね。



 というわけで今回は……ええとなんでしたっけ、初動が大事って話と事前に情報を集めておこうというお話、ということでいいんでしょうか。いつも以上に取り散らかった内容ですみません。


 次回の内容もちょうどひらめきました。次回につきましてはあまりお待たせさせることなくお届けできると思います。


 それでは、次回も何事もなく無事にいられましたら、お会いいたしましょう。

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