重版率100%? ええ~うっそだぁ~

 こんにちは。漫画原作コンテストの一次通過作が発表されたそうですね。通過された皆様おめでとうございます。そして、すべての参加者の皆様お疲れ様でした。

 私も最初は出していたんですけど、間に合わなかったので下げてしまったのですよね。悔いの残るコンテストとなってしまいました。



 某アニメのキャッチコピーではありませんけど、「次はうまくやる」(フラグ)



 さて、そんな私事は置いておきまして。

 作品の書籍化を目指して日夜創作に励んでおられる読者兼作家志望さまもおられるでしょうけれど、ここで書籍化という段階を踏んでアニメ化にまでこぎつけた先達さまに関連して、本日のお話にまいります。

 

 ロボット小説として書籍化・コミカライズされている『ナイツ&マジック』という作品のアニメ化の情報が深夜に、いわばゲリラ的に駆け抜けました。

 ガンダムをはじめとしたロボットものが大好物な私にとっても注目したいニュースでした。


 この作品を出版されているのは『ヒーロー文庫』というレーベルを擁する主婦の友社さん。

 1917年に創刊された婦人向け雑誌『主婦の友』は残念ながら現在は廃刊となってしまいましたが、現在も多くの女性向けファッション雑誌を作られています。日本の出版社としてはかなり歴史の深いところであるといえるでしょう。


 また私事で恐縮ですが、雑誌担当者として2008年の『主婦の友』最終号を並べたのを覚えていまして。毎月『家庭画報』などと隣り合わせで並べていたのがなくなってしまうのか、と思うと寂しく思ったものです。


 もうかなり昔の話になりますが、角川書店さんからメディアワークスさんが独立する際に出版物の刊行を担ったのが実は主婦の友社さんなんですよね。

 その後もメディアワークスさんが角川さんに吸収されるまでの間両社は密接な関係にありました。

 その他、声優情報誌のパイオニア『声優グランプリ』も主婦の友社さん。

 『主婦の友』という社名からは予想もつかないかもしれませんが、実は我々オタク文化の愛好者にとっても『友』のようなところであるわけです。


 

 相変わらず角川さんの場で他社さんを持ち上げる私。いいのだろうか。

 ……今更考えるだけムダですね!


 

 本題に移りましょう。

 上記のようないきさつをご存知な方なら、女性向け雑誌の出版社がなんで『ヒーロー文庫』のようなライトノベル? と疑問に思うこともないことでしょう。

 メディアワークスさんの出版を請け負っていた、ということはつまり、かつてはあの『電撃文庫』の販売元でもあったのですから。

 

 しかし、『ヒーロー文庫』は私がライトノベル売り場を見るようになった段階では新規参入して間もない新参レーベルさんで、私の書店の本棚にもほんのすこししか入ってないような状態でした。

 とはいえ、私が担当する前後に人気作ピックアップのフェアを置いていたので他社さんと比べると充実していた方でしたけど。


 その新レーベルが現在順調に刊行数を増やしていけている理由は、とりもなおさず『小説家になろう』出身者さんの拾い上げにあるといえます。まあ新規参入のレーベルさんは多かれ少なかれそのような側面があるのですけどね。

 先述の『ナイツ&マジック』の方もそのようですしね。このへんは私よりも読者さまのほうが詳しそうです。

 

 『ヒーロー文庫』さんのカラーとして他のレーベルさんと一線を画しているのは、今回のタイトルにさせていただいた『重版率100%』という謳い文句。

 これはレーベルさんにとって最大のウリのようで、公式サイトなどでもデカデカと掲げられています。


 読者さまにとっては「ふーん。で?」と思われるでしょうけれど、これ業界的には驚異というか、ちょっと信じられないことなんですよ。


 

 少し前にドラマ『重版出来しゅったい!』が話題になったので「重版」という単語も多くの方にとって聞いたことのあるものとなったでしょう。


 通常、発売した書籍が再度作られる=重版がかかるには、よほどの人気作である必要があります。

 もう1回同じ本を作ると、最初に刷られた分も返品されてきてしまい在庫がダブつく恐れがあります。なので重版がかかるというのは人気を得た作品――つまり確実に在庫がはけるとわかっている商品に限られる。

 

 重版というのは、それだけで多くの作家さんにとってかなりハードルの高い話なのです。


 

 詳細を言うとマズいかもしれませんので具体的には話しませんけれど、書籍の担当者はいつどの本が重版されるのか、という情報はある程度事前に知ることができます。そうでないと重版がかかっても注文できませんしね。


 定期的にそういった情報を見ていくうちに、東野圭吾さんなどのベストセラー作家さんの書籍とともに、ライトノベルっぽいタイトルが定期的にズラッと並ぶ日があることに気が付きました。それが『ヒーロー文庫』さんのライトノベル群だったのですね。


 実際のところどれだけの部数が重版されているのかはわかりませんが、書店向けの重版情報を信じる限り、『ヒーロー文庫』さんのライトノベルは確かに重版されているといえるかなと思います。


 このあたりは実際に書籍化作家さんは確実にご存知でしょうけど生憎そういうコネはないのだ(笑)

 もっとも、あったとしてもそういう情報はお話にならないでしょうね。


 

 というわけで今回はあるレーベルさんのウリの秘密についてでした。


 この『重版率100%』は実は読者さんに宣伝すると共に、書籍化を目指す作家さんに向けても訴求しているのだろうなと思ったりしながら、今回はここまでとさせていただきます。


 それでは毎回のお決まりで恐縮ですが……

 関係者の方々からお叱りを受けない限り、またお会いいたしましょう。

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