第5章 知っているようで知らない書店の日々やあれこれ。

委託販売というふしぎ。

 お久しぶりです。実に1ヶ月半以上空けてしまったのですね。

 更新するする詐欺で申し訳ありませんでした。運営さんから注意されていたわけではありませんので、その点はご安心ください(笑)


 

 さて、元書店員がご迷惑をおかけしない範囲でお届けする本屋さんの裏側。

大きな章立ても完結したので、今回からはジャンル横断的に書きたいこと書いていきます。今回は意外と意識されてない点について。


 

 さて最初の方で返品率がうんぬんみたいなことを書いたと思うのですが、そもそもなぜ『返品』と言われているのかというお話。

 本屋さんに所狭しとびっしりと、平積みはドドンと並んでる本たちですけれど、実のところアレの大部分は『委託販売』と呼ばれる形態で置かれているものです。


 ウスイ=ホンを出しておられる方がよく書店に委託とかおっしゃってますよね。あのケースは委託する書店というのが少々特殊なケースであるものの、考え方としては同じです。

 その本の販売をお願いしているのが製作者=同人作家さんか、企業さんかの違いですね。


 町に多くあふれる書店さんは出版社さんから「こんだけあげるから売ってください」という形で販売を委託されているということになります。 

 詰まる所、書店さんのお仕事とは出版社さんが持ち寄ってきたものを売るスペースを提供することにほかならないのです。

 

 通常の『委託』という考え方ではあくまで商品の所有権は委託者――

 「これを代わりに売ってください」とお願いする側の持ち物ですよね。


 

 つまり本屋さんで売られてる本は実は本屋さんのものじゃなかったんだよ!

 

 \な、なんだってー!/ΩΩΩ

 

 アレだけ在庫を持ってても自分たちのものじゃないなんて、切なすぎるぜ本屋さん……!

 


 ……などと考えてしまいがちですが、出版業界というのは少々特殊な委託形態でしてね(笑)


 書店側はいったん出版社さんが販売を委託する本を、仲介の取次さんを通じてすべて買い取っています。

 ただ一日あたりに出荷される本の数はそれこそ天文学的なもので、すべて買い取るというのはリスクが大きすぎます。なので、余った分は返してもらえばお金はその分返しますよ、という取り決めをしているのです。

 それが出版業界特有の取引形態で、『返品付き販売制度』とも呼ばれています。


 なので、出版社さんから本の販売を委託されているわけですが、いったんそれらを買い取り「私有」しているという扱いになるため、所有権は本屋さんにあるという形になるわけですね。


 そりゃあそうだ(笑)


 いやはや書店に限らず流通のシステムというのは、知れば知るほどよく考えられているものだと感心してしまいます。


 

 ただ、一旦はすべて買い取らないといけないので、当然そのためにはまとまったお金がなければなりません。

 ですが、どんな本がどれだけ売れるのか実際仕入れてみないとわからない以上、売れる月と売れない月というバラつきが出る恐れがあります。

 場合によってはなかなか売上が確保できず、次の仕入れのための金策に苦労する月というのも、実際出てくることと思います。

 ある種、本を仕入れるということ自体がギャンブル的な要素なのです。

 その資金を捻出するために、返品でなんとかお金を得て次の仕入れのお金をやりくりする、といういわば自転車操業的な事態も引き起こされてしまうわけです。


 本屋なんて毎日行っても代わり映えしないよ、と思われるかもしれませんが、月に何が出るかによって売上がかなり左右される商売であり、書店員さんはレジに立ちながらも毎日ハラハラしてることでしょう……(苦笑)

 だからこそ毎回出せば安定して売上が立ってくれる本というのが書店さんからは歓迎されるとも言い換えることができそうですね。



 委託販売なんだけど所有はあくまで書店さんのものにするためによく考えられたシステム、ではあるのですが……

 出版社さんに返品――今度は書店さんが出版社さんに本を売却して所有権を返上するという可能性がある以上、完全に我が物のように好き勝手にはできません。


 乱暴に読んだり汚れをつけたり、というのははばかられるというもの。

 なので週刊誌とかの雑誌を立ち読みされる方も、読むなとは言わないので、どうかちょっとだけキレイに読むよう気を遣っていただけるとありがたいです……(笑)

 汚れたり傷がついたりすると売り物にならないとかいう以前に、アレ返さないといけないんで……


 

 ただ出版社さんや取次さん側からしたらなんでもかんでも返品に出されてしまうと商売あがったりなので、『責任販売制』という形態も徐々に増えてきています。

 出版社や特定の商品によるのですが、返品を抑制するために○○%以上は返品しないでくださいね、という一定の条件が設けられているケースです。

 また、アニメ化フェア商品など取引金額が高い場合は支払いまでの期間が一定期間延長されますが買い切り扱いになる(または一定期間の返品ができない)『延勘定』(延勘)といった形式もあるので、本の取引はすべてこう!とは言い切れないところもありますけどね。


 

 色々と申し上げてきましたが、要は日本出版界の販売制度すげー!ということです(雑な結論)


 最近はネット書店もそうですけど『Kindle Ultimated』などの電子書籍の攻勢などもあって、本を売る場所としての書店という販売形態はさらに苦戦を強いられることでしょうけれど、「そこにモノがある」ということの強みは何物にも代えがたいものがあると思っていて。

 願わくば今後ともこのシステムが日本に残っていけばなあと思いと共に今回はここまでとさせていただきます。

 


 さて。

 私事で申し訳ありませんが、気がつけばこの作品も参加させていただいていた、『実話・エッセイコンテスト』の最終発表まで時間が迫ってまいりましたね。

 ありがたくも多くの方に応援していただきました。本当に感謝してもしきれません。改めまして御礼を申し上げます。


 参加していたからにはよい結果を期待したいものですけど、コンテストが終わってもお読みいただいてる方々がいらっしゃるという、この現状だけでも正直出来すぎなくらいです。どのような結果でも受け入れる準備はできております。

 読者のみなさまにおかれましては、どうか賞の有無にかかわらず、今後も応援していただけますと嬉しいです。

 

 ……チラシの裏にでも書いとけよ、というような話ですよね。すみません。

 自分のことに関してはこのへんにさせていただきまして、いつもの締めといきましょう。

 それでは、運営さんに止められない限り、またお会いしましょう。

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