2015年夏

電話攻勢

 こんにちは。といってもこれを書いているのは深夜だったりするのですが……

 はい。体調管理は大事ということで、これを書いたら大人しく寝ます。

 

 今回から2015年夏アニメに突入です。

 まずはある共通点のある2つの作品について触れていこうと思います。


 まずは『GATE ~自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり~』。

 出版社でありまた小説投稿サイト運営元でもある「アルファポリス」さんのアルファライト文庫から出ているライトノベルです。

 元はこちらもWEB小説出身だということで。作者さんが元自衛官という異色の経歴であることも話題でしたね。

 

 続いて、前のシーズンの作品になりますが……『響け! ユーフォニアム』。

 京都の吹奏部を舞台にした京都アニメーション作のアニメ。

 映画がそろそろ始まるんでしたっけ?

 作者さんが現役女子大生なことも話題になりました。

 以前ポロッとしゃべっちゃいましたけど、私の地元が京都なので非常になじみ深い景色ばかりでおおっとなってしまったものです。 



 さて、一見して全く共通点がなさそうなこの2つの作品。

 実は私の書店にだけ当てはまる共通点があったのです。


 それは――


 

 取引のないレーベルさんから出ていたということ。



 え、T島社って超大手だし文庫も出してるし、ラノベレーベルあるじゃん。

 「このライトノベルがすごい!」のところじゃん、なんでそこがないんだよって勘付く方もいらっしゃいますでしょうか。

 ファッション雑誌「Sweet」「Smart」、ビジネス向けの「月刊宝島」など、雑誌などの取引はありましたが、文庫の取引はほぼないに等しかったのです。


 

 実はこの辺りに小型書店ならではの悲哀があります。

 

 書店が欲しい本をWEBで注文する方法は2種類あります。

 まずは、出版社と書店を仲介してくれる「取次」さんに注文を委託して、取り寄せてもらう方法。

 これがもっともよく使う注文のスタイルです。

   

 本来ならばこうしてすべて取次さんに注文をお願いした方が書店としても効率がよいのですが……

 その時に在庫がなければ注文そのものがなかった扱いとなり、流れてしまう場合があります。

  

 それを防ぐ方法として、出版社さんの書店向けサイトがありますのでそちらで直接注文してしまうというやり方があります。※

 出版社さんに直接頼めば確実というわけです。注文不能というときもありますのでその時は諦めなければなりませんが。

 ちなみにカドカワさんにもありまして、どうしても欲しいときなどは、よくそのサイトで注文していました。

※注文時に取次さんを介さないというだけで、納品は取次さん経由です 


 しかし、前出の2社さんとはそういったWEBでの直接取引をしていませんでした。経験者とはいえそこではたかだか1年そこらの入りたてです。そのためだけに新しくログインパスワードを取得し、取引先を新規開拓するなどの権限までは流石にありませんでした。

 小型書店なのだから今取引していないところはすっぱり忘れて、今取引させていただいているところに注力した方がいいというのが私の行っていた書店さんの方針でしたからね。

 小型書店ゆえに選択肢を絞らなければならないというのは辛いところです。


 取次さん自身が大量に在庫を持ってくれている場合は注文できるのですが、そうでない場合、取引をしていないところの本は取次さんを介した注文そのものを受けていないことがほとんどでした。

 その点で元から取引のない小型書店は不利なのです。

 


 じゃあ注文できないじゃん! どうするんだという声がおありでしょう。

 

 そういう場合使うのが、電話です。

 出版社さんに直接電話をかけ、欲しい部数注文するのです。

 

 わぁ、古典的!

 でもこれがいちばん効果的なんですよ。

 

 ともあれ、出版社さんも全国各地から同じように注文の電話を受けるのです。

 つながらないこともしょっちゅうです(笑)

 

 なのでつながった時に、なるべく1回で済ませます。

 人気作は希望通りの部数から減数されることもしばしばなので、そういう意味でも基本多めにふっかけます(笑) そのへんもある種心理戦ですね。

 

 万が一その時品切れで注文できなかったとしても、重版が次にかかるタイミングを教えてくださるので、次回の重版時まで保留扱いにし、優先的に配分してもらうという形にしてもらうこともできます。

 

 とまぁ、このように最初に全く入荷がないという不利な条件だとしても電話注文である程度補えます。

 特にT島社さんの場合、ほかの文芸向けの商品もフェア展開したりしたことも効果があったのでしょうか、毎月ある程度配本が来るようになりましたし。

 アルファポリスさんにしても、件の『GATE』の注文を何回もしたので、もしかしたら覚えてもらえたのかもしれません。注文の部数を減らされたりすることもなく比較的スピーディーに補充分をいただけました。

 

 何もしなければ1冊も入ることがなかったであろう『ユーフォ』と『GATE』を出版社さんに直接電話交渉して、入手することができました。

 特に『GATE』は、2015年夏シーズンのアニメ原作ライトノベルでもっとも売れてくれたので、緊張しながらも電話してよかったというものです。

 

 やはり多かったのは、まとめ買い。

 『GATE』の文庫判は元の四六判を2冊に分ける体裁を取っています。

 本編5巻と外伝3巻(当時)の2分割なので、なんとシリーズ通すと16冊!

 だいたい2章~3章ぶん、つまり4~6冊単位のまとめ買いが多かったですが、たまに外伝含めて全部買っていかれる方もおりました。

 外伝は本編と比べると売れ行きに多少差がついてしまうものなのですが、この作品の場合、同じように売れていったことにも特色があったと思います。

 外伝を作者さん自身が書いておりファンが定着していたこと、本のデザイン・レイアウト・絵師さんまで同じで統一感があったことなどが、理由として考えられます。

 


 というわけで、今回はある共通項があった2つの作品についてお話させていただきました。

 電話注文の件はもっと掘り下げても面白いかもしれませんね。また機会がありましたら改めてさせていただくかも……?

 

 はっ……もうこんな時間。さっさと寝ませんと。

 それでは、次回更新まで作者が五体満足でありましたなら、また次回お会いしましょう。

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