ゴリ押しは自己責任で。
文庫担当として売り場のほぼ全てを自分の裁量に任された私。
前任者さんが残してくださったノウハウをもとに、売れる本を置いてなるべく利益を出すことが求められるのではありますが……
何を置くか自分で決められるということは、やろうと思えば売り上げ度外視で自分の趣味全開の商品を「ゴリ押しで」置けるということでもあります。
いわば持ち場を完全なる自分の理想郷にできてしまうわけです。
ただ自分が読みたいから、という理由でなくとも、時には売れ線のものだけではなく、自らのセンスにたのんだ展開が必要になります。
最初の方で困ったらこれとこれを置けというアドバイスをもらった、とは書きましたが、それだけではほかのところと差別化が図れませんからね。
たとえ自分の店で販売実績がないとしても、冒険することも必要なのです。
ですが小さな書店ですから、差別化を図る云々以前に置き場がない。
自分の趣味とお客さんの波長が合えばいいですけど、自らの趣味を押しつけるあまり確実に売れるものが置けなくなり、在庫ばかりが余り結局ソンになっちゃうという可能性も大いにあるのです。
前任者の方からもこうアドバイスされました。
「自分の読みたいものを取るだけ取って放置で大損させた人はすぐ担当外されたから、気をつけてね」
ひぃぃ……
「ゴリ押し」はしてもいいけどその代わり責任もって売ってね、ということですね、はい。
けっこう一般文芸といいますか、『ライト文芸』はそこそこテコ入れさせていただいたつもりなんですが……
以前話題に出した『ぼくは明日、昨日のきみと○ートする』や『珈琲店タレーランの事件簿』など扱いの弱かったT島社文庫さんの商品を入れて、それまでの完全扱いナシ状態から新刊が毎月多少入る程度にはしたり。
でも考えてみたらライトノベルでそこまでゴリ押しはしなかったですね……
売れ線以外のものは基本1~2冊で売り切った方がいいというアドバイスもあったからでしょうかね。今思えば過度に萎縮してしまっていたかなあという気もします。
完全に自分の趣味で入荷したのは藤原祐先生の新刊くらいですねぇ。
あ、今回の挿絵は椋本夏夜先生じゃないのかとちょっと驚きましたが。
入荷予定の無かったものを入れて長期展開した、という意味では『中古でも恋がしたい!』や『ようこそ実力至上主義の教室へ』『ありふれた職業で世界最強』などがそうでしょうか。
お前絵師で選んでるだろって言われかねないのがアレですね。
はい、それだけとは言いませんがとても重要な要素です!
コミックでは『境界のないセカイ』というカドカワさんの本をずいぶん引っ張ってもらったり、いくつか担当外のコーナーでも自分の趣味で推してもらいました。
一時ネットでも話題になった本でもあります。3巻が出たらしいですね。
完全に私の趣味ですが、一応それなりに売れてくれてました。
あと2巻くらいしか出てなかった頃の『
アニメ化する前に『城下町のダンデライオン』を置いてもらったり。
カドカワBOOKSさんに代表される「四六判」ノベルズについては単価が高く売れなかった時のリスクがでかかったこともあり、強く推せなかったところがあります。
カクヨムでも連載なさってる某作家さんの某異世界居酒屋小説を書籍担当の店長に推せなかったのは現在でもけっこう後悔しているところです。
文庫判である『異世界食堂』は全力で推してたのにそっちがないのは片手落ちなんだよなあ……
――と思いながらも自信を持って切り出せなかったのはもったいなかったなあと、今改めて振り返り思います。
……さて。そろそろ時間ですね。
もう少し推敲したかったですが、離脱しなければいけないようです。
それでは今度こそ運営さんの逆鱗に触れぬ限りまたお会いいたしましょう。
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