屋根の上で
今残って屋根の上に寝転んだりは……しないよね。
気持ちいいのにな……。
簡単に言えばベランダに干されている布団みたいに。
「おねーちゃん、何してるの?」
私の弟、瑞樹が言う。
実を言うと、瑞樹は高所恐怖症だ。家の二回から下を見るのもだめらしい。
「来てみる?暖かいよ?」
「ううん、高いところはやだ。」
「そうか……。」
やっぱりね。
「そういえば母ちゃんがご飯だって。」
「え?」
「さっさと来なかったらぬくよって。」
「え~?」
「ごちそうさまです。」
瑞樹はさっさと食べ終えてリビングから出ていく。
「あいつ、どこにいくんだ?」
父が言う。
「宿題があるんじゃない?」
母が答える。
「ごちそうさま。」
私も部屋を出る。
「あれ?瑞樹は?」
部屋に行っても瑞樹がいない。
トイレにも、別の部屋にも。
すると残るのは……。
屋根の上、か……。
案の定、そこには瑞樹がいた。
私と同じように寝転んでいる。
「ちょっと来てみた。」
弟が言う、そして私も言う。
「よかったじゃん。」
最後に弟が一言。
「ここから降ろして。」
やはり高所恐怖症克服の道は厳しい。
でも、ね……。
すぐ読める 「小説冒頭。」 灯室 焔 @homurohomura
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。すぐ読める 「小説冒頭。」の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます