まず文章が個人的に好みです。多分、これまででカクヨムで20作ぐらい読んできた中で一番。基本ミステリーでしたけど。
余計な感情描写を排した、感覚描写主体の文章が、西欧風のファンタジー世界を鮮明に描き出していたと思います。リズムもよく、とくにつっかかるところもなくすらすらと読めました。こちらの語彙力がないせいで言い方が変ですが「とても優秀な海外翻訳」のような印象を受けました。自分が伝える世界にこだわり過ぎず客観的で、相手に伝える作法を意識した感じがします。
森に迷い込んだ先にいた不思議な存在や、襲いかかる人狼、迷宮のような街並みなどを見ていると、本当になんでも文章で形にできる人なんだなーと思いました。
もうこの時点で星1確定。
次に世界観が良いですね。19世紀イギリスっぽい田舎町を基盤にした蒸気機関全盛期の世界観に、魔法を溶け込ませた感じが絶妙で、月並みな例えですが『ハリーポッター』シリーズのような実写ファンタジーで見てみたいと思いました。あくまで一個人の意見ですが、アニメ絵にするにしてもかなり写実的にしたほうが映えそうです。
この辺で星1。
結末については「まとめたなー」というところで絶賛はしませんが、どうやら続きを匂わせる終わり方ですので、続編ありきなのかもしれません。まだ見ぬ変人の探偵たちやロビンの今後に期待したいところです。
結末にについてはそんなところですが、ぶっちゃけ序盤についてはパーフェクトです。人に化け、人を食い殺す人狼と、その影を追う探偵の物語。人狼に出会ってしまった赤ずきんの物語。そして交錯し始める2つの物語。キーワードの選び方が秀逸で心をくすぐられます。引き込み方について文句のつけようがありません。
というわけでストーリー面でも星1
計星3で。