この作品、いかにも平和そうなタイトルですが、その実ロボットもののお約束をふんだんに盛り込んだ、実に熱いアクション小説です。
この作品世界における主力兵装とされるのが、「鎧機兵」。主人公のアッシュ・クラインは、この鎧機兵のメカニックとして第二の人生を歩もうとしている青年であり、それが表題に繋がります。
スペックに劣る民生用の機体を操り、圧倒的な操縦技術をもって戦闘用の機体を圧倒する――冒頭から、そんなシーンが繰り広げられます。
まさに、様式美といっていい展開ですが、ロボットものを描く上で、この手の「様式美」は必要不可欠であるように思います。
ベタな展開と言われようと、とにかくロボット(とそれを操縦する主人公)がヒロイックに活躍してこそ、ロボットものは輝くのだと個人的に考えています。
無論、地味に泥臭く戦う系統のロボットものを否定するわけではありませんのであしからず。
話は逸れましたが――ともすれば、ありきたりになりがちなのがロボットものというジャンル。
しかし、この作品においては、「星神」と「聖骸主」という存在が、独自のエッセンスを加えています。
また、メリハリのある軽妙な会話劇は読者を飽きさせず、勢いと「熱量」のある筆致が、読者を次のページ、次のページへと駆り立てます。私など、ほとんど一晩で、現在投稿されている分量を読みきってしまったほどです。
ネタバレになるため詳細は述べませんが、大きな危機に対して主人公(とその機体)の真の実力が明らかになるところなども、いかにも王道的でGOOD。
「二つ名」を持った最強の操縦者たちの存在や、中国拳法などの武技を取り入れたロボットアクションも、いい感じに厨二ごころを刺激します。
キャラクターも、ある種テンプレート的な部分があるのは否めないですけれども、みな生き生きと魅力的に描かれており好印象。
レビュー執筆時点で、物語は第二部とでも呼ぶべき部分の佳境に差し掛かろうとしているところでしょうか。続きが気になるところです。