12月1日(火)
特別編-End of Autumn in 2020-
学生生活最後の秋。
卒業論文や就職活動で大変かもしれないけど、ハロウィンイベントや学祭もあるため、何だかんだ楽しい学生生活を送れると、去年の時点では思っていた。
しかし、2020年秋。
新型コロナウイルスの感染拡大という予想だにしない状況となった。
新型コロナの影響もあり、学祭の前夜祭とも言えるハロウィンイベントは中止。
学祭は開催されたものの、去年までと比べて規模はかなり小さいものとなった。来場できる人も学生やOBOG、保護者のみ。しかも、予約した人のみが来場できるため、寂しさも感じてしまうほどだった。
僕と栞は学祭に茶道サークルのメンバーとして参加。去年までよりも静かな雰囲気はあったけど、来てくれた人が自分たちの点てた抹茶や手作りのお菓子を美味しそうにいただいてくれたので良かった。
僕も栞も、就職活動を春のうちに終えられたので、夏以降はずっと卒業論文中心の大学生活を送っている。
一時は新型コロナの感染状況が抑え気味だったので、キャンパスへ行く日も多いときもあった。
しかし、11月上旬に開催された学祭が終わった後くらいから、新型コロナの感染者が再び多くなった。僕らの通っている大学の生徒や教員も、何人か感染した。なので、現在は週に1度行われる進捗報告会以外では、あまりキャンパスへは行かない日々に。
秋は自分の設定した卒業論文テーマについて研究を深め、そして、まとめ始める時期にもなる。そうなるのは、卒業論文についてA4用紙1~2枚にまとめた『
僕も栞も卒業研究が順調に進んだので、11月に入ってからは抄録の作成を取りかかっている。
『悠介君。抄録はできた?』
今日もパソコンを使い、アプリケーションを使って栞とテレビ通話をしている。
「うん。とりあえずは形になった。2ページの間で纏めたよ。栞の方はどう?」
『私も2枚で纏めたよ。あとは、明日の進捗報告会で、先生や大学院の先輩方に添削してもらおうかなと思ってる』
「そっか」
ゼミの進捗報告会は毎週水曜日に行われる。明日のゼミで、卒論生と修論生の書いた抄録の初稿についてレビューすることになっている。
「まあ、規定の中で書けたなら、とりあえずは大丈夫じゃないかな。あとは、先生や先輩方からアドバイスをもらって修正していけばいいと思う」
『そうだね。じゃあ、とりあえずはお疲れ様だね、悠介君』
「うん。お疲れ様」
僕は温かいコーヒーの入ったマグカップを持ち、栞と一緒に「かんぱーい」と言って、一口飲んだ。
「あぁ、コーヒー美味しい」
『悠介君はコーヒーなんだ。こっちは紅茶。紅茶も美味しいよ。今日から冬になっただけあって、温かいものが美味しく感じられるね』
「そうだね。今年も残り1ヶ月か」
『早いよねぇ。あっという間』
「本当にあっという間だよな」
個人的に、高校生になってから時間の進みが早くなった。それはなぜなのだろうか。高校生になってすぐに、栞という恋人ができたからとか?
「抄録は提出できる状態にして、卒業論文もある程度書いて、クリスマスやお正月を迎えられるといいなぁ」
『そうだね。年が明けたら、卒論発表会の練習をするようになるもんね。卒論はあるけど、クリスマスや年末年始くらいは、悠介君と一緒にのんびり過ごしたいな』
「そうしたいね」
毎年、クリスマスや年末年始には、どちらかの家でお泊まりするのが恒例。今年はクリスマスには栞の家、年末年始には俺の家で過ごす予定だ。
『のんびり過ごすためにも、まずは健康に気をつけて過ごさないといけないね』
「そうだね。例年以上に体調には気遣わないと」
熱が出たり、空咳があったり、怠かったりしたら新型コロナの感染している可能性があると考えた方がいい。味覚や嗅覚に異常があったら、感染の可能性がさらに上がる。どこか体調に異変があったら、クリスマスや年末年始のお泊まり会は中止しようと決めている。
卒業論文に新型コロナという例年とは違う大きなことがあるけど、冬はクリスマスに年末年始、バレンタインデーもある。学生最後の冬はできるだけ穏やかで楽しい時間になればいいなと思う。
特別編-End of Autumn in 2020- おわり
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます