6月1日(土)

特別編-End of Spring in 2019-




 大学3年生になってから2ヶ月が経ち、3年生の生活も段々と慣れてきた。

 ただ、あと2ヶ月も経てば春セメスターも終了して夏休みが始まる。そう考えると、1セメスターって結構短いなと思う。

 2019年夏の初日は、土曜日ということもあり栞の家にお邪魔して、彼女の家で課題をやりながらゆっくりと過ごすことに。5月の下旬くらいから真夏のような暑さが続いているし、涼しい場所にいたいから。


「今日から夏だね、悠介君。といっても、10日くらい前から暑い日が続いているからそんな感じがしないけれど」

「そうだね。暑い日は涼しいところでゆっくりするのが一番だよね」

「うん! 好きな人と一緒だとよりいいね」

「……そうだね」


 嬉しいことを言ってくれるな、栞は。こういったところは付き合い始めた5年前から変わらないな。


「今年の春は色々なことがあったよね」

「元号が平成から令和に変わったり、世間では例年にない10連休だったりしたもんね」


 それ以外については、進級したり、5月には僕の誕生日があったりといつもと変わらない春だった。

 ただ、大学生活については、3年生になって就職活動関連のセミナーに参加したり、ゼミ関連のことが増えたりしたので、去年までとは雰囲気が少し違うかな。


「そういえばさ、悠介君。1ヶ月しかないけれど、昨日で令和最初の春が終わったって考えていいのかな」

「3ヶ月フルじゃないけれど、季節が春で元号が令和の時間が確かにあったもんね。そう考えれば、令和最初の春が終わったと考えていいんじゃないかな。2019年の春は平成最後であり、令和最初でもある特別な春だったって覚えておこう」

「それが一番いいかもね」


 改元はそうそうないことだし。

 これから先の未来、大学生の頃に元号が令和に変わったと何度も思い出すことになるだろう。その頃、お父さんとお母さんは付き合い始めて5年くらい経っていたんだよ……みたいに子供に話すことができればより嬉しい。


「どうしたの、悠介君。楽しそうな笑顔を浮かべちゃって」

「きっと、今年の春は特に何度も思い出すんだろうなって思ったからさ」

「平成から令和に時代が変わったもんね。ところで、今日からは令和最初の夏が始まるんだね!」

「そうだね。去年は平成最後の夏だって言われることが多かったけれど、今年は令和最初の夏として盛り上がるのかな」


 平成最後だった去年の夏は、とっても暑かったな。梅雨も6月中に明けちゃったし。今年の夏はあまり暑くならないと願いたい。


「夏は毎年やってくるけれど、令和最初の夏は今年だけだもんね。ただ、去年までと変わらずに、悠介君と一緒に楽しい夏の時間を過ごすことができればいいなと思う」

「そうだね。今年は夏休みにインターンシップを受けようかなって思うけれど、栞と一緒に過ごす時間も確保したいな」


 できれば、夏休みの間に、1泊でもいいので栞と2人きりでどこかに旅行へ行きたい。


「悠介君とゆっくりできる時間は作りたいね。それにしても、悠介君はインターンシップかぁ。将来に繋がることだから大切だし、私も選択肢の一つとして考えておこう」

「うん、それがいいと思うよ」


 来年は卒業論文や就活もあって大変だろうから、今年の夏休みは栞との思い出をたくさん作りたい。今はそう考えているけれど、来年の夏は東京オリンピックもあるし、何だかんだ栞と一緒にオリンピックなどを楽しんでいるかも。


「どんな風に過ごしても、3ヶ月後にはいい夏だったって思えるように頑張らないと。悠介君、令和最初の夏もよろしくお願いします」

「うん。よろしくね、栞」


 すると、栞の方から僕に口づけをしてきた。涼しい部屋だからなのか、それともこの温もりが大好きな栞のものだからか、温かいことが心地よく感じられる。

 栞の言うように、3ヶ月後に令和最初の夏は良かったと思えるように頑張ろう。栞と一緒に楽しい時間を多く過ごせれば何よりである。




特別編-End of Spring in 2019- おわり

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