構造主義

@kantata

構造主義

人のくびきから逃れた大いなる獣は人を喰らう。

自由になった大いなる獣は人とたわむれる。

無邪気な牙が命に刺さる。

無邪気な爪が命を抉る。

やがて人は立ち上がることができなくなって、大いなる獣の一部となる。

人は食い尽くされ、大いなる獣は空腹に衰弱する。

大いなる獣は衰弱した自らの体を食らいはじめる。

大いなる獣の体を一番目の癌が蝕む。

獣の免疫を嘲笑い、二番目の癌は転移する。

癌は獣に成り代わり、弱った細胞を喰らって成長する。

癌は獣と分かたれて、争い、どちらかが大いなる獣へと昇華する。全ての人を喰らいながら。

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