ララバイをささやく人工知能

 人工知能の発達による影響を、言語活動はダイレクトに受けている。

 言語という壁を取り払おうという大きな動きがある。

 そして、その流れの副産物として、文芸活動も変わっていくだろう。

 おそらく、これからの執筆活動は、人工知能の補助を受けるようになる。

 そして、最終的には、人工知能が作った作品を、人が楽しむ時代が来る。

 

 人工知能の補助により、プロ・アマを問わず、文章の質は飛躍的に高まるだろう。

 一人ひとりがお抱えの校正者を持つことになるからだ。

 たとえば、人力による長編作品は、全体の構成がどうしても不完全になる。

 これが、人工知能による、人とは違うアプローチの校正で是正ができるようになる。


 機械の能力が高まれば、人の書いた文章をすぐに映像化することも可能になるだろう。

「書いた物語を他人がどのように脳内で映像化するのか知りたい」

「描写した事物の動きや位置関係の矛盾を確認できないか」

 といった創作者のニーズに対応できる。


 今より技術が進めば、人がアイデアを出し、人工知能が形にする時代が来るかもしれない。

 さらにその先は、一から小説を人工知能が創るようになるだろう。

 個人の生活様式、過去の経歴、その時の気分などから、物語を生み出していく。


 星新一は、単語をいくつか紙に書き、それを無造作に組み合わせる手法で、小説のアイデアを捻り出していた。

 人工知能は、その行為を人の能力を超えた次元で行うことができるようになる。

 機械が小説を、とくに、娯楽として消費される物語を生産する時代は近い。

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