汝の隣人に余計なことをするな

 我々には個体差というものがある。

 そのおかげで我々は生き延び、ここまで文明を発展させることができた。

 しかしその反面、個体差は差別や戦争の遠因にもなった。


 我々がうまくやっていくには、できる範囲で各々の好きにさせることである。

 個体差を前提として認めず、我々を金型に抑え込もうとする力が、世界をおかしなものにしている。


 他人に余計なことをしない社会を我々は求めている。

 しかしなぜ、我々は他人にこれほど余計なことをするのだろうか。

 我々の生きようとする力が、生存欲が、他人を押しのけてでも前進しようとする力がそうさせているのだろうか。


 近代以前は、我々の生存欲が暴発しても大事にいたることは少なかった。

 しかしながら科学技術が発達すると状況は変わり、我々は我々自身の生きようとする本能的な働きがもたらす暴力に怯えながら暮らしている。


 近代以後、我々はさまざまな環境の悪化に苦しめられている。

 我々の生きようとする力が今までの枠組みを超えて暴発した結果として。

 その苦しみから逃れる第一歩は「汝の隣人に余計なことをするな」であろう。

 我々は自らの特性をよく理解して行動しなければならない。

 やることをやらない人間よりも、余計なことをする人間のほうが我々の敵である。

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