魔女との契約



「何をそんなに満足げな顔をしているの?


私との実力差を見せ付けられたと言うのに、面白い娘ね」


満足げ?


今の私がそんな表情をしているのか?


彼女は面白そうに私をまじまじと見ている。


「ふふっ……気に入ったわ


貴女の実力、そして、貴女の心意気を……」


彼女は玉座から立ち上がり、こう尋ねる。


「貴女、私の剣となって働く気は無いかしら?」


実にとんちんかんな事を言う。


私は驚くばかりで言葉が出て来ない……。


「……もう少し貴女が魅力的だと思う言い方に変えましょうか」


彼女は、そう言って私に向かって歩みを進めた。私の元へ向かう彼女は次第に出会った頃の黒くふわっとした艶のある髪に、吸い込まれる様な黒さを持った瞳に戻る。


そして、再び私に向けて口を開いた。


「貴女、今程度の実力で満足しているの?」


彼女はそう言うとピタリと歩みを止める。


その距離、5mほどだろうか。


彼女は非常に穏やかな表情を見せ、言葉を続ける。


「もし、そうで無いのなら、私に着いてきなさい


貴女の道を、私が導いてあげるわ」


私はこの言葉に思わず笑みが零れ、先程とは違う穏やかな喜びを覚える。


「ふふふ……はははっ……


全くもって、完敗です……」


私は彼女の目の前まで歩み寄り、そして……。


彼女の前に跪いた。


「……敗者に、選択肢はありません


私は、喜んで貴女の剣となりましょう」


私は、深く頭を下げ、彼女への服従を誓ったのだ。


勇者と共に正義を成す?


そんな事はただの理由付けに過ぎない。


私はただ、力が欲しい。


誰にも屈さぬ、絶対的な力を……。


だからこそ、私は。


目の前に居るこの絶対的な王に忠誠を誓う。


それが、私の求めた正義だからだ。


「ふふっ……確かに受け取ったわよ」













────────貴女の誠なる意志を……






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幻想魔王録 -The first contact- あかつき まりあ @Saitamanosugita

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