第7話 神主、死に場所を決める
今日は久しぶりに外へ出た。
たまが消えてからまる一年。
箒を持って境内の掃除をする。
ここには沢山の思い出が詰まっている。
思えばもう二十年も前になるのか。
雨の日に、たまを拾い、それからずっと暮らして来た。
大切な大切な私の娘。
あの子がいたから今まで元気でいられた気がする。
活気に満ち溢れていた神社はそこには無く、あるのは寂れた姿だった。
最早神社として機能していない。
ここに神様はいないだろう。
それでも私は掃除をする。
綺麗に綺麗に掃除をする。
ここには皆の思いがある。
ここにはたまの記憶がある。
ここには私の思い出がある。
私が生まれ、育ち、死にゆく場所。
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