第2話 神主、猫と生活する




 あの猫を拾ってから一年が経過した。

 弱っていた黒猫も今は元気。

 病院で診断して貰った結果これと言って病などは持っておらず、どうするかと訊ねられたので神社の中で飼う事にした。

 

 猫の名前はたまと名付けた。

 良くある名前。

 だが、そこが良い。

 神社にお参りに来る方にも大人気で、今や神社の看板娘だ。


 そうそう、たまは雌だった。



「さあ、たま。ご飯ですよ」


 ミルクを出せば可愛らしい舌を出してぺろぺろとそれを飲む。

 

 キャットフードを出せば可愛らしい口に含んでかぶかぶとそれを食べる。


 中々元気ですくすく育つ。


 一人身である私を癒す唯一の良心。


 それがたまだ。


 たまと出会ってからもう六年。


 彼女はかけがえのない家族となっていた。

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