なぜ妻に出ていかれたのか、その理由に触れなさすぎて、感情移入が出来ないまま終わりまで引っ張られた感じです。あともうひとふりスパイスが効いていれば、全然違う仕上がりになったはずの、惜しい仕上がりの料理のよう。
緻密に情景描写をすることで、いつしか風景が物語を描きはじめる。そうした内面と外面をシンクロナイズさせた情景を見る時に、読むことの喜びが降りてきます。ここにこそ、読むよろこびがあると思います。