「もひゃあああああああ!!」

私:

「お兄様!? なんですか、今の悲鳴は!」


兄:

「綿棒の箱を落としてしまった」


私:

「……………………は?」


兄:

「いや、だから、綿棒の箱をうっかりひっくり返してしまったのだ。ま、ご覧の有様だよ」


私:

「床が綿棒だらけですわ、お兄様」


兄:

「うむ。風呂上りの耳かきは気持ちが良いのでな。至福すぎて、うっかりひっくり返してしまった」


私:

「意味がわかりません。綿棒の箱をひっくり返す人なんて、現実にいらっしゃるとは思いませんでしたわ」


兄:

「これなぁ、一回中身をバラけると、ぜんぶ片付けるのがほんと大変なのだ。綺麗にそろえて入れないと、全部おさまらんしな……」


私:

「綿棒の箱をひっくり返すのは二度目以上ですか、お兄様」


兄:

「うむ。前回はうっかり床に置いたところを、足の小指にぶつけて微妙に悶絶した直後、散らばった綿棒を見て絶望したという――」


私:

「アンタどうしようもねぇですわ、お兄様」


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