番外:私と父の会話のリズム。
父:
「娘よ」
私:
「はい?」
父:
「あー、ゴ○ラ見た?」
私:
「見ましたよ」
父:
「そうか。うん」
私:
「……」
父:
「……」
父:
「あー、どうだった?」
私:
「面白かったですよ。人間関係のリアリティがあって面白かったです」
父:
「そうな。うん」
私:
「……」
父:
「……」
父:
「あー、父さんもな、母さんと見てきた。買い物帰りにな」
私:
「そうですか、どうでした?」
父:
「うん。良かった」
私:
「……」
父:
「……」
父:
「あー、でかいな、怪獣は、やっぱりな」
私:
「そうですね」
父:
「うん。でかいのはな、やっぱり、強いよな。でも、人間もよくやってたよ」
私:
「頑張ってましたね。みんな格好良かったです」
父:
「うん。そうな、なんていうか、現実味があったよな」
私:
「はい」
父:
「……」
私:
「……」
父:
「あー、あれ、あれをな、思いだした」
私:
「あれ?」
父:
「母さんが好きな作家がな。いてな」
私:
「お母さまが好きな作家って、小説家?」
父:
「そう。ほら、有名な、あー、なんて言ったっけ?」
私:
「それだけではなんとも……」
父:
「あー、エビがな、確かエビが、攻めて来る?」
私:
「……エビのような何か、ですか?」
父:
「そう。エビのような何か、だった気がする。やっぱりそれも、あー、廃棄物? なんかそういう、なんか危ない物を捨ててたら、エビがでかくなった」
私:
「エビがでかくなって、人を襲う感じですか?」
父:
「そう。エビが、巨大化して、人間を食おうとする。それを警察だの、自治体だのが協力して頑張るんだけどな、どうにも難しくてなぁ」
私:
「まぁ、無理っぽいですよね。拳銃ごときで、巨大化したエビの甲殻を貫通できるとは思えません」
父:
「そうそう。そんな感じでな。危なくなって、頑張るんだわ。頑張って、自衛隊が出てきて、エビを倒す感じ」
私:
「自衛隊が出動、および戦闘許可が出るまでに、いろいろと引き継ぎ事項がありますからね。それがメインのお話なんですね」
父:
「そう。まさに、そう。でな、母さんがしばらくその人の小説にハマってて、うちの料理が三食エビ尽くしになった」
私:
「毎日エビですか」
父:
「そう。毎日エビ。エビフライが毎日でた。だからな、ゴ○ラを見て、うちの母さんが、結構面白かったわねーって言った時な。父さん覚悟した」
私:
「覚悟した?」
父:
「三食毎日、カラアゲが出て来るかと思った」
私:
「……えーと、確かにあの背中の突起とかが、まぁ……鳥の唐揚げに見えないことも、ないような……」
父:
「そうだよな。やっぱな、見えてくるよな。カラアゲっぽくな。あー、でも父さん、エビよりは、カラアゲの方が好きだからな、べつに構わなかった」
私:
「……はい。それで、夕飯はどうなったのですか?」
父:
「いつもと変わらなかった」
私:
「そうですか」
父:
「うん」
私:
「……」
父:
「……」
父:
「あー、少しな、残念だったんだよな」
私:
「そうですね」
父:
「うん。そいじゃ、ちょっと出かけてくる。タバコ、買ってくる」
私:
「いってらっしゃい」
父:
「ん、あー、なんかついでに欲しい物あるか?」
私:
「カロリーメイトを一箱」
父:
「わかった」
~15分後~
父:
「ただいま」
私:
「おかえりなさい」
父:
「ほれ、から○げクン買ってきたぞ」
私:
「――――ありがとうございます、お父様」
~完~
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