「ホッチキスを探しておるのだが」
私:
「ホッチキスですか? ちょっと待ってください。えーと、はいどうぞ」
兄:
「……違う。これではない」
私:
「? 留めるサイズが合わないとか?」
兄:
「いや、そうじゃなくてだな。プリントアウトした書類を束ねて留めるホッチキスを探しているんだ」
私:
「?? ですから、コレが紙を束ねて留めるホッチキスでしょう?」
兄:
「そうなんだけどさ。そうじゃなくて、俺が探してるのは紙を留める道具なんだけど、どっちかというとホッチキスじゃなくて、紙を挟んで、バチンとやるやつ」
私:
「???」
兄:
「まぁそのホッチキスでもいいか。貸してくれ」
私:
「どうぞ」
~数日後~
兄:
「あ、思いだしたわ」
私:
「えっ、なにをですか?」
兄:
「クリップだよ!」
私:
「はい?」
兄:
「俺があの時本当に求めてるのは、クリップじゃなくて、クリップだったんだよ!」
私:
「え?」
兄:
「だからさ、何日か前に、クリップ貸してくれって頼んだろ? そうしたらおまえ、俺のとこにクリップ持ってきてくれただろ」
私:
「……そんなことありましたっけ?」
兄:
「あったって。で、俺が言ったじゃん。欲しいのはクリップだったって。クリップじゃないって」
私:
「??? すみません、お兄様がなにをおっしゃっているのか、全然わかりません」
兄:
「そうか。まぁたいした事じゃないから、忘れていいぞ」
私:
「お兄様、私、すごく気になります!」
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